第957話 街角アンケート


 城の周りに大勢の人が、ってこれで何回目だ? 度々起きるよなこのイベント。別に最悪ガン無視してもいいんだろうけど、とりあえずいくか。それに、面倒臭くなったら皆殺しにすればいいだけだからな。


 俺はメガネくんにこの場で待機するように命じて表に出た。ってか城の周りってことは魔王国に不法侵入しちゃってるってことか。それだけで本当はもう処罰の対象なんだけどな。話は聞いてやろうじゃないか。


 俺がプレイヤーたちの前に到着すると、そこには報告通りそこそこの数が並んでいた。本当に今ここで戦争でもおっ始めるつもりなのか? もしそうなら俺が出てくる前に攻撃しとけよって思うんだが。


「貴様が魔王であるか!」


 ん、貴様? 初対面の人に貴様なんて言うとは相当親の教育がなっていないようだな。教育レベルが悪魔と同程度ってことになるんだがいいだろうか?


「そうだ、この我に何の用だ。つまらぬことであれば即座に切られると心得よ」


 俺は逆にプレイヤーの前では言葉遣いに最大限の注意を払う。威厳たっぷりで貫禄のある、そんな声色と言葉遣いだ。これができる魔王だ。


「魔王に提案がある! 私たち「ブラックバスターズ」と同盟を組まないか?」


 へぇー俺と同盟、か。面白いな、そんな提案をしてくるなんて。


「我が貴様らと組むことで如何程の益があるというのだ?」


 これはちょっと口調で遊び過ぎか? もはや時代劇みたいになっている気がする。にしてもブラックバスターズって、もうちょっといい名前は無かったのか?


「私たちと組むことによってプレ……人類側とのパイプができ、更には人員も確保することができる! 魔王一人では立ち行かないことも多々あることだろう、そんな時に我らブラックバスターズが協力することで、更なる高みへと上ることができるだろう!」


 ふーん、まあまあ話だけは聞いてやろう。結果はその後だ。


「では貴様らの望みはなんだ、我と同盟を組むことで其方らにはどんな益があるというのだ?」


「そ、それは魔王様のお力をお貸しして頂きたく……」


 まあ、結局それが狙いよな。知ってた。これでプレゼンが終わりなら後はどうやって断るかだが。


「魔王軍に弱き者は必要ない。貴様らは我が軍に相応しいだけの実力があるのか?」


「もちろんでございます! 我らが魔王軍と協力関係を築いた暁にはこの身を粉にして


「なら、今、粉々にしてみるのはどうだ? 【死骸魔術】、召喚」


 俺は、奴らの前に無数の骨、スケルトンを召喚した。


「ひっ、こ、これは!」


「弱き者は要らぬと言っただろう? 骨にも勝てぬ軟弱者は魔王軍に相応しくない。よって、ここにいるスケルトンを全員倒したら貴様らを我が配下に加えてやろう」


「ちょ、待て


 おっと、口ほどにも無かったみたいだな。一瞬で、骨の大群に飲み込まれてしまった。そもそも言葉遣いや態度からして気に入らなかったのだ。上から目線だし、そもそも頭数なんてこっちは無限に増やせるんだよ。もっとまともな理由を持ってこいよ、うちのメガネくんみたいにな。


 んー、でもだからと言ってそれらしい理由を挙げられまくるのも面倒臭いな。一々俺は対応したくないし、そもそも魔王はもっと邪悪な存在だろう? なんでそんな奴の力を借りようとするかな? せめて俺を倒した後にして欲しい。


 なんでそんなに傲慢な態度を取れるか一切の理由が不明だ。


 そうだ、人類プレイヤーに本格的に分からせてやろう、魔王の恐ろしさを。

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