第910話 予想外の戦果


「ふぅー」


 魔王城の自室に戻ってきた俺はベッドにダイブして、一息ついた。


 いやー、なかなかに強力なコンボだったなー。自分でもまさかあれほど上手く決まるとは思っていなかったぞ。対多数にこれほどまで特効できる手段というのはかなり重宝しそうだ。


 それこそ、大量の悪魔が巣食う、あそこにも今なら勝てるかもしれない。


 それに、このコンボはただ相手を倒すだけでなく、倒せなかったとしても相手にかなりのAGIのデバフをかけることができる。何よりもそれが強いのだ。泥沼にハマったかのような感覚に陥り、光のごとき速さで駆け巡る俺に一方的に倒されることとなるだろう。


 ……ちょっとフラグっぽかったから今のはナシで頼む。


 まあ、悪魔との戦いはもうちょっと時間をおいて準備を完璧にしてからだな。次はなんとしてでも完全攻略してぶっ倒さなければならない。それがハーゲンへの弔いには悪魔の命がいくらあっても足りないからな。


 んな訳で、今からは本格的に国造りに取り掛かる。


 っと、その前に、一旦ログを確認しておこう。プレイヤーを倒しまくった後に色々きてた気がするんだが、撤退に忙しくてそれどころじゃなかったからな。なになに……


「条件を満たしました。スキル【燐炎】が【蒼火】に進化します」


【蒼火】‥怪しい蒼い火を灯す。一見、今にも消えそうな火だが、その蒼さは高温を意味し対象者に気付かせぬまま焼け焦がす。また、この炎は魔力を加えることで不可視の炎となる。このスキルはこのスキルで倒した敵の数に応じて進化する。


ーーー称号《絶対不可侵》を獲得しました。


《絶対不可侵》‥その場から一歩も動かず、敵を寄せ付けずに大量の敵を一人で倒す。敵が近くにいればいるほどAGIが上昇し、遠くにいればいるほどSTRが上昇する。スキル【万有斥力】を取得する。


【万有斥力】‥任意の対象と自分に斥力を付与することでその二つを反発させる。魔力の消費量に応じて斥力が増大し、斥力が大きければ大きいほど大きく反発する。


 な、なんだこれは……蒼火は想定していたんだが、なんか変なのが付いてきてる。それに、蒼火も思ってたのとちょっと違う感じになってるし、これはどういうことでしょうか?


 と、と、とりあえず面倒臭いことは置いといて一旦、ドラゴンを進化させようか。今でもお腹を空かせて、物欲しそうな顔でこちらを見つめているからな。


 え? 今の今まで忘れてただろって? たまたま目が合ったから思い出しただろって?


 んなわけねーだろ、だって、ほらコイツを進化させる為にプレイヤーを虐殺したんだし、そんな本末転倒なことする訳ないよな?? ま、兎に角、


「【蒼火】」


 ドラゴンに蒼火を使用すると、毛並みが一瞬で生え変わっていくように、体を構成していた炎の色が蒼色に変わった。


 また、それだけでなく、毛先? とでもいうのだろうか、炎の先の部分がかなり見えづらくなっているのだ。これが魔力を付与したら不可視になるということか? 


 確かに小学生の頃ガスバーナーを扱う時に見えてるよりも炎があるから気をつけてと言われたが、まさかそれを地で、しかも全身で行うとは、恐ろしいなこのドラゴンは。


 ん、そういえばまだ名前つけてなかった、折角だからこれを機に名前をつけるとしよう。


 んー、どうしようかなー?

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