第729話 久しぶりの再会レアドロップ
「いひひひひひ。久しぶりに見る顔さね。どうしてこんな所にやってきたんだい?」
食死処と書かれた場所に入ると、そこには俺にとっても懐かしい顔があった。
そう、俺に取っての食の師匠である婆さんだ。俺が料理人になる為に修行をしたのは、最近のようにも思えるが、かなり前にも感じる。
積もる話もありそうで無いから、早速本題に入るか。
「お久しぶりです。今日は少し頼み事があるんです。コイツ、俺の弟子にニンニク料理を食べさせて欲しいのです」
「ほぅ、弟子にニンニク料理ねぇ。お前さんの弟子はあれかい、吸血鬼なのかい? それなのにニンニクを食べさせるって……何か考えでもあるのかい?」
「えぇ、少し荒ごとになっちゃいますが、ニンニクに強くなっても貰おうと思いましてね。もちろんお代は払いますし、場所さえ教えて頂ければ私が採りにいきますので、是非ともお願いします」
「いひひひひひ、そういうことなら丁度いい食材があるねぇ。第三の街の南西部に生えているニンニクで、毒ニンニクというのがあってねぇ。焦がすと毒はきえるのに、それ以外の調理法だとその猛毒は一切消えないっていう面白食材なんさね」
おー、確かにそれなら毒とニンニク両方の耐性を得られるから一石二鳥だな! 流石は俺の師匠で毒殺婆なだけはある。
「え、え、毒ニンニク? 面白食材? 全く理解が追いついてないんですが、もしかして私がそ、それを食べると言うことでしょうか?」
「ん、それ以外なんかあるのか? 何の為にここに来たと思ってるんだ。まあ、安心しろ俺がいる限り死んでも大丈夫だし、あの婆さんの料理は死ぬほど美味いからな」
「え、それって物理的に死ぬんじゃ……」
ゴトン
「ほら、婆系ラーメンさね。ニンニク増し増しで作ったから、麺が伸びる前に食べるんさね、いひひひひ!
お前さんの分も用意してあるから、食べたら食材を採りにいくんさね。二人分も消費してたらすぐ足りなくなる。この子は私が責任を持って回復してあげるから安心するんさね。いひひひ」
お、おう。何故か婆さんのテンションが高い。こんな婆さん見たことない。
でも、ちゃんと俺の意図を汲み取ってくれてるし、俺の分まで作ってくれてるんだよな。そういうところは流石師匠だし、数多の修羅場を潜ってきた(だろう)だけのことはある。
「ズズズズッ、うまっ!」
ニンニクがガツンとくるが、それもいいアクセントになってる。全身から力が漲ってくるようだ。
あ、実際にSTRとAGIが上がってる。これバフ料理だったのか、しれっと凄いな婆さんは。
じゃあ、弟子は師匠に任せておれはニンニク採取に出かけますか!
❇︎
っと、全力ダッシュでニンニクが生えてる場所に到着したんだが、全然それらしきものが見当たらない。もしかして、毒ニンニクって超レアアイテムだったりする?
もしそうだとしたら結構時間かかりそうだな。よし、掘ろう。
「ふぅ」
炭鉱夫、じゃなくて今は金穿大工か、と脆弱化のスキルのおかげでとても効率的に掘り進むことができた。とりあえずは目に見える範囲を表層の土ごと掘って全てインベントリにしまうことで、植物は全て採取できてるっていう算段だな。
よし、見てみるか。
ーーー称号《山菜採り》を獲得しました。
《山菜採り》‥一定時間内に大量の山菜を取得する。山菜のレアドロップ率が上昇する。山菜を食べた時の効果が増幅する。
ん、なんだこれ、久しぶりの称号だな。って、え、レアドロップ率あげてくれんのか? これはもっと掘り進めるしかねーな。ちょっと気合入れますか。
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