第601話 天使の序列


 上位天使、かー。コイツって上位天使じゃなかったのか? でも明らかに下位って感じのオーラではなかったよな? 天使を監視している、みたいな感じだったし。


 あ、楽上庭園の奴らか。オリベルは空中都市の中では結構上の位だったけど、その上がいるってことか。つまり、次の敵はそいつらになる、って言うわけか。


 まあ、取り敢えず研究室に戻るか。俺の心臓欲しい欲求は一旦は止んだから、爺さんの意向も聞いてみたいところではあるんだよな。


 ❇︎


「なるほど、上位天使か」


 俺がことの顛末を告げると、そう言って爺さんは考えに耽ってしまった。恐らく、俺にその上位天使の心臓を取りに行かせるか悩んでいるのだろう。


「爺さん、とりあえずこれ、今回倒した敵の心臓だ。前回の敵と比べてどれくらい強いのかとかも調べてくれると助かる」


「了解した」


 俺の見立てでは、コイツは空中都市では最も上位の天使だと踏んでいる。でなければあんな言い方はしないと思うんだよなー。でもまあ、今は解析を待つしかないか。


 ❇︎


「ほれ、これが今回のスキルじゃ。そしてコイツの強さじゃが、お主の見立て通り前回の天使よりも強かったぞ。より大きなエネルギーを獲得できたわい。まあ、サンプル数が少ないから何とも言えんが、これが主天使と言うことを考えると、前回の敵は権天使か、能天使当たりじゃろう」


「なっ、爺さん天使について知ってるのか? 教えてくれ!」


「なっ、お主まさか知らんかったのか? 悪魔の時といい、天使についても知らんのじゃな。まあ、よかろう。

 天使とは九つの位に分かれておると言われておる。下から、天使、大天使、権天使、能天使、力天使、主天使、座天使、智天使、熾天使じゃ」


「そ、そんなにあったのか」


 これは驚きだな。これほどまでに位分けされているとはな。悪魔の時もそうだったが、ここの運営はたくさんの位を作るのが大好きなのか?


「そして、下から三つを下位天使、真ん中三つを中位天使、上三つを上位天使と呼ぶのじゃ。じゃから、今回は中位のトップである主天使が、上位天使のことを仄かしたのは妥当と言うことになるのぅ」


 そうか、俺の予想は幾らかは当たってたのか。ただ、予想外なのはこれほどまでに位分けされていたこと、そして上位天使が思いのほかいたってことだ。


 そして間違いなく、楽上庭園にその上位天使達がいるのだろう。


「よし、」


 一旦、天使は置いておこう。なんか他にもやらなければならないこととかあるかもしれないし。いくにしてもちゃんと準備してからにしたい。


 主天使ですらある程度は強かったのだ。ここからどのくらいの加速度で強くなっていくのかは分からないが、準備しておいた方がいいのは間違いない。


 魔王として喧嘩を売った以上、流石に負けられないからな。


 あ、スキル開けるの忘れてた。

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