第587話 開眼


「お邪魔しまーす」


「ん、誰じゃ……って、お主はかつての!」


 かつてのってなんだよ、かつてのって。まあ、覚えてくれていたことは嬉しいな。まあ、覚えているのは俺のことというよりもスキルの方がメインだろうが。


「久しいのぅ、久しぶりに選定をしにきたのかの?」


「あぁ、そうだ。少しばかりスキルが増えすぎてしまったんでな。ここいらでスッキリさせたいのと、後は強くならないといけない用事ができたんだ。だからとびっきりのものを頼む」


「そうかそうか、あいわかった。ではまずは、お主の今を見せてもらうかのう」


 なんか語尾にウッヒョーこれこれーってのがついてそうな顔してるけど大丈夫だよな? 俺が今行っていることは何もやましいことはないよな? 健全なことだよな? 理由もないのに不安にさせるのはやめて欲しいもんだ。


「ほほーう。こりゃまた大層なスキルをゲットしたもんじゃのう。以前よりももっと大変なことになっとるわい。どうすりゃこれだけのもんが手に入るんか教えてもらいたいくらいじゃわい」


 死にまくればいくらでも手に入りますよ、とは口が裂けても言えないな。本来なら無茶苦茶努力して手に入れるものだろうし、多分死んだらそれっきりのNPCにそんなこと言っても仕方がないだろう。


「おっと、別に本当に言う必要はないぞ? 儂も本心で言っておるつもりはないのだからのぅ」


 爺さんが何を勘違いしたのか、自ら遮ってくれた。なんだよ、欲しくないのかよ、ってきりガチで言ってるのかと思ったぞ。


「ふむふむ、いくつかビジョンは見えたのだが、今回もまずはお任せでいいかの?」


「おう、よろしく頼む」


「承知した。ではまず、この二つからいくかのう。なぜこの二つを持っているのか不思議で仕方ないんじゃが、闇視と夜目じゃ。この二つはあまりにも特性が似ておるから、大した変化にはならんと思うが、まあスッキリするじゃろうし、効果は底上げされるじゃろうて。選定、しても良いか?」


 あ、確かにそれは思ってた、俺も謎だったんだよなー。まあ、どうなるかは分からないが、して損はないだろうからな。


「はい、お願いします」


「【闇視】、【夜目】が統合されます」



ーーースキル【闇眼】を獲得しました。



【闇眼】‥闇の住人の眼を宿す。光がない状況でも完全に視界が開け、暗ければ暗いほど全行動に微補正。


 おっと、初っ端からなかなかいい出来じゃないか? ただ見えるだけだった二つから、微とはいえ行動補正がつくのだ。かなりも儲けものだろう。


 それに、闇の眼って魔王っぽいじゃねーか。かっこいいし、俺の中の何かが疼くぜ。


「結果はどうだったかの? 満足のいく結果であれば私としても嬉しいのだがな。まだ続けるのか?」


 こりゃ、今回も楽しめそうだな。まだまだ、楽しみは始まったばかりだ。







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写◯眼とか、◯廻眼とか能力がある目ってかっこいいですよね! 他にも、白、赫とか色々……

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