第563話 魔王城建設
というわけで早速ダンジョンを作っていこうと思う。
ここで一つ注意しなければならないことがあるのだがそれは、コンセプトをはっきりとさせるということだ。
自分の好きなようにやりたい放題詰め込んで、最終的に一貫性の無いダンジョンになってしまうのはかっこよくない。少なくとも俺はそう思う。
例として、俺が今まで行ったダンジョンで見てみるとわかりやすいだろう。帰らずの塔であったり、邪の祠であったりと、二つとも……
ん、あれ? なんかこの二つともコンセプトはっきりしてなくないか? いや、まあ超激ムズとか、階層ごとにコンセプトが違うっていうコンセプトなの、か?
ま、まあ邪の祠とかは全体的に邪ぽかったじゃん? ね?
と、とりあえずその二つは例外として、俺のダンジョンはもう、バチっとテーマ、コンセプトを決めて、挑戦者が雰囲気から圧倒されるようなものを作りたい。
そして、今回採用するコンセプトはありきたりだが、シンプルに魔王城、これだ。
正直、話を持ちかけられた時にこれしかないと感じていた。だって、折角、魔王って名乗ったんだよ? その魔王が城にいなかったらおかしいでしょ!
まあ、上に伸ばすか下に伸ばすかでは少し悩んだけど、やっぱりちゃんと城! っていうのが欲しい。だって、現実でもマイホームなんか持ったことないのに、ゲームでビビってちゃダメだ。大きくデーンといきたい。
それに、何よりも魔王には威厳が必要だろ? 見た目から舐められたらダメなのだ。そう、厳しく厳かな、あれ? どういう意味の違いだっけこいつら。まあとにかくかっこいい城を作りたいのだ。
❇︎
そんな感じで建設を始めていくのだが、ここで運営の力が発揮される。
俺のダンジョンのエリアは決まっているんだけど、そこに今から俺が作るダンジョンは運営の神の手によって創造される。
言うなればクリエイティブモー、いや違うか。まあ、イメージはそんな感じだ。運営から言われているのは、やり過ぎなければいい、ということだ。
具体的に言えば、全百階層とか、一階層がバカ広いとかそういうのはナシで、常識的な範囲で行ってくださいとのことだ。
いや、ダンジョンに常識もクソもあるものか、と問いたくなったのだが、まあ運営側からすればあるんだろうな。ゲームにおけるダンジョンの常識というものが。
あいにくさま俺にはないのでとりあえず好き勝手しようと思う。ダメって言われたらそこだけ修正すればいいだけだからな。うん、楽ちん楽ちん。
❇︎
はい、というわけで完成いたしました。これが魔王城です! 全体的に黒と紫を基調にしたお城になっておりまして、いかにも魔王城、って感じですな!
内装にも非常に凝っており、部屋の一つまで再現されているという高クオリティです! これは皆驚くんじゃないでしょうか。
何より最大の驚きは、これを建てるのに要した時間です! なんと、五分、五分でこれが建ってしまったのです!!
……はい、すみません、運営がデフォルトを用意してくれてたので、それの配色を変えて、少し見た目をいじりました。
だって、冷静に考えたらただの素人が建築とか無理でしょ。美的センスもないのに、頼る以外の手がないでしょ、うん。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます