第552話 前日の作戦会議
『では、次の戦いに参加したい者は誰だ?』
俺は再び皆を集めてそう聞いた。すると、
『『『私が』』』
と、カト、ペレ、デト、の三名が同時に答えたのだ。まあ、確かに皆の前で海馬を褒めたし、本当は前回行きたかったのだろうな。それをアイスに取られたから、今度こそはと意気込んでいたのだろう。
うむ、皆やる気が十分で嬉しい限りだ。残りの四名は一人を除いて、こうなることを予見していたのだろうか。それなら賢いし、良い先輩とも言える。後輩に順番を譲っているのだからな。
一人を除いた理由は言うまでもなく明らかだろう、ゾから始まってムで終わる奴だ。何も考えていないのは明らかだろう。コイツに向かわせたらそれはそれで面白そうだが、悲惨なことになるのは確定だな。
『ふむ、三人ともやる気があって、とても嬉しいぞ。そうだ、ちょうど良い、お前ら三人で行ってこい。アスカ、ペレは両端のコアを守り、デトは、中央でプレイヤーを殲滅しろ』
これは中々良い考えじゃなかろうか、一試合目はコアを破壊されて不本意に試合を終了させられたからな。しっかり時間いっぱい戦いたいからな。
アイスの時はコアは制限時間の一時間ギリギリまで破壊されず、最後までいくかと思われたが、結局破壊された。
俺の予想だと、もっと殺し合いをするかと思っていたのだが、意外とコアを破壊しに行きたくなるようだ。まあ、予想外なことはあって当然だから、臨機応変に対応していこう。
『ご、ご主人様、お言葉ですが、私たちに人間どものコアを守護しろと命じられるのですか……?』
躊躇いながらも、困惑した顔でアッシュがどう尋ねてきた。
あー、そうとも取れるのか。ってか、俺がそう言ったのか。それはそう言う風に誤解してしまうのも無理はないし、当然のことか。これはしっかり説明しないといけないな。
『すまない、言葉の綾だ。一試合目も二試合目も、制限時間一杯ではなく、コアの破壊によって戦いに幕が閉じられてしまったのだ。そして俺はできる限り多くの人間を倒したいのだ。だからこそ、コアを破壊させないように迫り来る敵を襲い、共に守ろうとする人間を刺すのだ』
『『はっ、畏まりました』』
よし、これで、準備は完了だな。俺の従魔の中では中堅どころではあるが、その実力は折り紙付きだ。皆それぞれ別の方向で強いから、それらが組み合わさった時の破壊力にはとてもワクワクする。
『お前らの晴れ舞台だ。盛大に人間を倒し、舞台を血で染めあげるのだ!』
何言ってんだろ、と思わなくもないが、だって、魔王ムーブってなんかかっこいいじゃん、憧れるじゃん? しかも俺の従魔はしっかり俺に懐いてるからいーの。
しかし、これで前日の準備は整ったな。試合は明日だし、今日ログアウトするまでには少し時間がある。
『よし、海馬、少し付き合え、私を原始の息吹で殺すのだ。安心しろ、食いもんは用意してやる』
ちょっと前夜祭として、俺も久しぶりに死んでみたくなった。あの息吹はどれくらいのものか気になるしな。
あ、食べ物は俺も今まで散々食ってきたクラーケンを出している。味は正直わからないが、腹を膨れさせるという目的だけならおすすめだ。ぜひ食べてみて欲しい。
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