第461話 獣人への国


 ギルドの受付に聞いてみると、話に聞いたことはあるが実際に行ったことはない、だそうだ。図書館に行ってみると、この国の東側にエルフの国が、南側に獣人の国があるらしい。


 ふむ、どちらに行こうか。敢えての北か東に行くことで、新たな発見を探すっていう手もあるが、、、まあ、それはエルフと獣人の国に行った後でも良いだろう。


 んー、そうだな。エルフは森の原住民みたいな人達か、綺麗な感じなんだろうな、そう考えると行く気も失せてくるな。俺、女性苦手なんだよな。


 よし、獣人の国に行こう。


 獣人の国にはひたすら南に行けば良いってことらしいからな。今度こそ、


「ハーゲンっ!」

 

『うぃっすー!』


 ……軽いな。ま、まあそれもハーゲンの個性だ、俺がどうこう言うことでもないだろう。


『今回は南に行く。少し長旅になるかもしれないが頑張ってくれ』


『了解っす! 南でも、長旅になるってことはいつもの港町じゃないってことっすよね?』


『ん? そうだが?』


『やっぱりっすかー、ちょっとお魚食べによっちゃダメっすかねー?』


『そんなことか、良いに決まっているぞ。従魔全員呼び出してまたパーティーを開こう』


『やったー! っす! ありがとうございますっす!』



❇︎



 港町に着いた俺は早速頭を抱えていた。


「……そうだった」


 ここに来てもハーゲン以外は何も食わねぇんだったわ。皆を呼び出してパーティーと言っても結局ハーゲンが一人で魚を食うだけだからな。


 うん、これからはハーゲンだけを呼び出そう。それと他の従魔にはちゃんと別の形で褒美をあげないとな。最近色々頑張ってもらったんだし。


「よし、じゃあ獣人の国に向けて出発ー!」


 俺は飛行機や船の中、しまいにはバスや車の中でさえ、旅行する時に乗るそれらの移動手段がとても好きだった。今から見知らぬ土地に行く事ができるという高揚感、そして、飛行機や船の時はその新鮮味も楽しいのだ。


 そんな俺が今、ハーゲンの背中の上に乗っている。


 ……いや、ずっと海なんだよこれが。別に飛行機みたいに映画を見れるわけでもなく、船みたいにゴロゴロもできない。すぐに飽きてしまった。


 だが、この乗り物の操縦権は俺にあるのだ!


『ハーゲン、スピードを上げろー』


 すると、物の数分でその土地が見え始めた。まあ、視界に入るのは出てきた街と同じ港であるが、そこにいる住民が明らかに違う。これは面白いこと起きそうだ。


 やはり、新天地というものは気分が上がるものだ。大昔の大航海時代の人々もこんな気持ちだったのだろうか。


 上陸!!


 いや、このまま降りると流石に目立ちすぎるから一旦ハーゲンには帰ってもらおう。


『ありがとな、ハーゲン!』


『はいっす!』


「あ、」


 バッシャーーン!

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