第418話 たらい回し
「ダンジョンに行きたいだって?」
俺がここにきた理由を話すとそう驚かれた。
「おいおい、ダンジョンを荒らす気かよ。まあ、行く行かないは個人の自由だからとやかくは言わないがよ、そういうことなら普通にギルドカード見せときゃ良かったんだよ、全く」
「でも、私、冒険者用のギルドカードを持っていないんですよ……」
「持ってないのか? いくら暗殺ギルドって言ったって、最初は冒険者ギルドから始まるんじゃないのか? ってもしかしてお前、最初から暗殺ギルドに入ったとかじゃねーだろうな……?」
「す、すみません」
言えない。知らなかったなんて言えない。俺だって普通に冒険者ギルド入りたかったんだぞ? それなのに、頑張って入ったと思ったらそこは暗殺ギルドだったんだぞ、俺だって被害者だ。
「そうか、なるほどな。それで勘違いしてこんな所まで来てしまったというわけか。いや、なるほどではねーがまあ分かった。とりあえず戻って受付の人にダンジョンについて説明してもらえ。俺から手違いだったってこと言っとくから。もうこんなことするんじゃねーぞ? 俺は軽く知ってたからいいが、殆どの人間が知らないのだからな」
もう、冒険者ギルドに来ることはないだろうな。なんか疲れたし、俺は地道にギルドの組員らしく依頼をこなしますよ。
❇︎
受付カウンターに戻ると、ダンジョンの居場所が書かれている地図と、ダンジョンについての説明を受けた。
まあ、ざっくりまとめると、この世界には沢山のダンジョンが存在し見つけられていないものもたくさんあるという。そしてギルドが運営しているものというものはかなり情報が解禁されており、挑戦しやすいようだ。そしてそこに挑戦する人たちはそこで安全に強くなるのが目的らしい。
つまり、俺の想定とはやや違っていたようだ。ギルドで運営しているものはあくまでも初心者用及び中級者用ってとこだろう。俺が自分のことを上級者というわけではないが、さらに強くなりたいという目的からは外れてしまうだろう。
そこで俺がしなければならないこと、それは、新たなダンジョンを見つけることだ。
まだ見ぬダンジョンを探すこと、それはかなり危険で途方もないことの様に思えるだろう。しかし、ここはゲームだ。そこには信頼してもいいだろう。確実にまだ見ぬダンジョンはある。
これが現実世界だったらお前何言ってんだ。もっと現実見ろよってなるとは思うが、ゲームだからこそ夢を追えるというものだ。
それに、これは秘境探しと通ずるものがあるからな。ずっと探したいと思っているのになかなか巡り合えていないから、これからは本格的に世界を巡り、秘境を探し、ダンジョンを探し、そして自己の強化に励むのだ!
よし、と言うわけで始まりの街に行くか! 久しぶりだが、どこか心躍る様な感覚もあって楽しいな。ワクワクが止まらないぜ!
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