第359話 ポケットの怪物
《蠱毒の観察者》‥蠱毒を行い、最後まで見届ける。自分が扱う毒の威力が上昇する。
カメがムカデを倒し、全てが終了した時にこの称号を手に入れた。なんか見てただけなのにもらっていいのだろうか。まあ、俺に渡した時点で返せって言われても絶対に返さないけどな。
カメの方を見ると、カメはその場に散乱していた死体をムシャムシャと、ゆっくり食べていた。カメ自体は普通に可愛い生物であるはずなのに、なんかそれが逆に怖い。可愛いのにしてることが怖いし、その光景が怖い。
ってか、どうしよう。コイツをどうすればいいんだ? 服従させてもいいんだが、もっと強い奴が欲しい時はコイツを生贄にすることで、更に強い毒を生み出したいんだよな。変に愛着湧いても困るんだよな。
まあ、愛情をもってたっぷり毒を与えて、こいつを最強の毒の持ち主としてもいいんだがな。悩ましいところではある。が、
「よし、もうこいつを従魔にしよう! そして、この世界最強の毒使いにしてやるんだ!」
もう、考えるのもしんどくなってきたのだ。こいつが蠱毒を生き残ったのも事実なんだから、精一杯育ててあげよう。それにカメと言ったら長寿なイメージもあって縁起もいいだろう。俺はこいつに全ベットするぜ!
「【服従】!!」
「ポイズニシャンタートルの服従に成功しました。名前をつけますか?」
え、なんか種族名変わっていないか? 前は確かポイズニストだった気がするんだが。まあ、気にしてたら負けだな。それよりも、愛着を湧かせるために名前をつけよう。
しかし名前と言っても難しいな。カメだろカメ、一番最初に思いついたのはカメックs……だが、流石にダメだろうし、これも種族名だからな。カメックス、かめっくす、カメック…
「は! 閃いた! お前の名前はデトックスだ!」
最強の毒生物の名前が解毒というのは、なんとも皮肉が効いてていいだろう。それに語感も悪くないからな。デトックスが相手を毒にかけるなんてどういう状況だよ。まあ、名前はなんでもいいのだ。ずっと使ってれば愛着湧くだろうし、強ければなんでもかっこいいのだ。
どんなに名前がダサくてもそいつが世界一なら、もうそれがスタンダードになるだろ? それを狙うってか、それになるんだよ。
よし、まず最初の命令を出すか。
『あー、あー、聞こえるかデトックス。俺がお前の主だ、よろしく頼む。早速で悪いんだが、お前にできることを教えてくれないか? まずはお前のことを知りたいんだ』
『おお、ご主人様。不束者ですが、何卒よろしゅう頼みます。私はそうですね、基本的に噛み付き、毒の牙、殻に篭る、我慢が使えます』
噛み付きに、毒の牙に殻に篭るに我慢か……え? 某モンスター育成ゲームでもしてるのか俺? もしかして、名前のせいだったりする??
あれ、俺人選ミスったかもしれない。
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