第314話 姉妹対決


「【複合魔法】、雷炎蓬莱!」


 この複合魔法というスキルは私が二つの魔法を同時に使おうとしたときに獲得したものですわ。思っていたのとは違ったスキルになってしまいましたが、これはこれでかなり強力なスキルになっていますの。このスキルすらお姉さまは持っていそうですが、とりあえずは使うしかないですわ。


「あら! そんなスキルまで持っているのね! イチゴが成長してくれて私は嬉しいわよ? 【複合魔法】、雨雫漠土」


 やはり、お姉さまも持っていましたわね。しかも、私の雷と炎に強い、水と土をまたもや当てられて、逆にこちら側がダメージを食らいましたわ。お姉さまは圧倒的に桁違い、私なんかが立ち向かえる相手ではありませんの。


「で、でも……」


 負けたくありませんの。今まではお姉さまだから、という理由で全て諦めていましたわ。でも、せっかくこうやって直接対決ができる機会、全力で挑まなければお姉さまにも申し訳が立ちませんわ!


 次の一撃で私の全てを出しますわ。


「【魔法強化】、【高速詠唱】、【魔法連結】、【重複詠唱】!!」


 これで決めますわ!!


「【樹木魔法】、【大地魔法】、【大海魔術】! いきますわ! 松風水月!!」


「ふふふっ、本当に強くなったわね。お姉ちゃんも本当に嬉しいわ。ただ、まだまだ妹には負けないわよ? 【黒炎魔術】、獄門之燈」


 私の渾身の一撃、松風水月は四属性のうち三つを使い、さらに水魔法が水魔術になることで使える技ですの。土地を耕し、木を育て、それを飲み込む大海を生み出し、その水面に映る月の光で攻撃するという、私の中の一番の大技ですわ。世界を作り桃源郷を生み出すんですの。


 でも、それを、その世界をお姉さまはたった一つの魔法で打ち破りましたわ。なんてお強いんですの? やっぱりまだまだでしたわね、でもいつか必ずお姉さまを超えるのですわ。


「ふふふっ、楽しかったわ。でも、もううかうかしてられないわね。私もお姉ちゃんとしてまた頑張るわ。今日は本当にありがとう、【水魔法】、ウォーターボール」


 そ、その技は!




気づくとわたしは試合が始まる前にいた場所にいましたわ。私は負けたのですね。


「負け……ましたわ」


 全力で準備して全力を出して戦った試合でコテンパンにやられましたわ。流石お姉さまですわ。ですが、いつもとは違う別の感情もありますわね、上手く言葉にできないような、こう、モヤモヤした感情が心にありますの。


 そのモヤモヤが次は絶対に勝つ、と言っているような気がしますわ。そうですわね、次は絶対に勝ちますわ。いつになるかはわかりませんが、今から更なる研鑽を重ねて今よりももっともっと強くなって、リベンジを成功させるのですわ!!



 ❇︎




 心の中にあるモヤモヤは、イチゴが生まれて初めて姉に感じる悔しさという感情であった。


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