第82話 出逢い


 ようやく、無効化スキルを手に入れられたな。途中で、耐性スキルも手に入れたんだが、無視して直走った結果やっと手に入れた。今回は今まで史上、かなりの速さ、効率で出来たと思う。死に方も圧死? でいいのかか分からないが、それも良かったな、楽だったし、早いしで。イベント終わりの滑り出しとしては良いと思われる。


 よし、引き続き頑張って行こう。なんせまだ第三の街まで全然なのだ。次の街に行くには、火山を越えなければいけないのだが、まだ山の麓である。ここからは死ねる敵がいたら死ぬが、なるべくスピード重視で行く。


 火山の中腹を過ぎたあたりだろうか、神速で一気に駆け上って来ていたんだが、そこに、久しぶりのモンスターが登場した。


〈Lv.90 ゴーバット〉


 なんか、シンプルな名前だな。見た目はコウモリの形をしているが、とても大きい。こいつはどういう攻撃をしてくるのだろうか。もしかしたら殺してくれるかもしれないから、一旦攻撃を受けてみるか。


 すると、何やら口から奇妙なものを吐き出し、俺にぶっかけてきやがった。


「うぇ……」


 ちょーくせぇ。何これ、やばい、鼻もげそうなにおいだ。これはやばい。普通にHPも減っているんだけど、それはいいんだが、これは久々にくるな。なんなら痛みよりも精神的にはキツいかもしれない。例えるなら……いや無理だな。


 ゲロとかドリアンとかヘドロみたいな匂いかなと思ったりもしたが、そんなやつ嗅いだことないわ。まあ、めちゃくちゃ臭い。酸っぱい感じで鼻をツンとさせる感じもあるな。あ、やっと死んだわ。


 うわー、これ周回するの相当キツいぞ。でも、やるしかない。死ぬことでより生を実感できるしな。日本がどれだけ綺麗で素晴らしい国なのかも実感できるぞ。


 よし、勇気を持って二回目だ。気は乗らないが仕方がない。再び、相対する。


 臭い。でもだいぶ慣れてきた。いや、臭いのは臭いのだが。最初は臭さだけに気を取られていたが、それに慣れると、体に起きている異変にも気が付いた。体がボロボロになっていってるのだ。まるで風化しているかのように。


 確かにHPが減って、死んだから何かしらダメージの原因があるはずだが、匂いが臭すぎて死んだ訳ではないらしい。ステータスを見てみると、状態異常:腐蝕、となっていた。俺、腐ってるのか、と思うと少し萎えたが、この臭さなら納得できてしまう。




 もう、どれほど時間が経ったのだろうか。もう、においに対して何も感じなくなってきた。逆に死に戻った時に空気の匂いが感じられる程になってしまった。空気って意外といい匂いなんだな。特に山は空気が綺麗だ。


 段々と思考回路がショートし始めた頃、遂に、


ーーースキル【腐蝕無効】

   スキル【嗅覚強化】を獲得しました。


【腐蝕無効】‥腐蝕効果のある攻撃無効化する。また、状態異常:腐蝕にならない。


【嗅覚強化】‥嗅覚が強化される。嗅覚によって様々な匂いを嗅ぎ分けられるようになる。


 お、やっとか。


「って、くっっさ!!!」


 な、なんだこの異常なまでの臭さは! って嗅覚強化の影響か……ならオフにしてっと。


 ふぅ、死ぬかと思ったぞ。鼻の通りが良くなって、鼻の奥の奥まで来て、脳にダイレクトに届いた感じだったぞ。これは使いどころか難しいな。恐らく、イベントの時みたいに、相手を探す時や、戦闘中に相手の異変にすぐ様気づけるようになるかもしれない。


 でも、戦闘中に今みたいに、めっちゃ臭いもの出されたら即、隙に繋がるだろうな。このスキルはあまり使わないかもしれないな……


 あと、あのコウモリちょっとムカつくからちょっとやってこよ。八つ当たりかもしれないが、お前は少し臭すぎた。


「【ファイヤーエクスプロージョン】」


 これは蜂の時に使ったやつだな。爆炎魔法の割と威力が強めのやつだ。対象が木っ端微塵になるから使いどころを選ぶが個人的にはかなり気に入ってる。背を向けて使うとかなりかっこいい。


 ん? ちょっと待てよ? 気配感知に反応がある、いや、反応が近づいてくる。新たな敵か? ちょっと一息ついた所を狙ってくるとは狡猾だな。お前も塵にしてやる。


「【ファイヤーエクス……


 魔法を唱えながら、反応のあった方を向くと、そこにはどこか見覚えのある、女性がいた。


 プロージョン】」


 あ、

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