第83話 調査


 私はイチゴ、魔法使いをしている者ですわ。私が負けたあの日からある人を探していますの。ですが、中々見つからなくって……


 その探している人とは、私がとても意気込んで、全力を出したにも関わらず、片手間に私を圧倒した人ですわ。それに、あっという間に優勝してしまいましたし。本当に一体何者なんでしょう……


 そのイベントが終わった後に、調査しようと思い、後をつけていたのですが、急に大きな鳥を呼び出して、飛んでいったのですわ。


 やはり、規格外すぎますわね。慌てて後を追ったのですが、流石に無理でしたわ。そこからはもうずっと見つけられていませんの。


 今、私は第三の街にいるわ。今のところ最前線の街は第四の街でして、プレイヤーの人も数が少ないの。それで、あれだけ強いのですから、もちろん第四の街にいるのかと探したのですが、結局見つからず、第三の街に来たところですわ。


 とは言ってもここで見つかる気配もありませんね。一体どこにいるのでしょうか? 誰にも知られていない場所で、ずっと訓練でもしているのでしょうか。人を探すのがこんなにも難しいとは、人を探すなんて現実世界では殆ど無いですし、キツいですわ。


 でも、強くなる為、憧れの姉に近づく為にもなんとしてでも強くなる秘訣を手に入れなければ……


 こうなったら、意地ですわ。第二の街に向かいましょう。


「あっ……!」


 とうとう見つけましたわ!! 大声を出して見つかってしまっては、笑えませんから静かにしていますが、とうとう見つけましたわ!


 ここは、第二の街に向かう途中の火山の麓ですわね。火山で修行とは流石ですわ……どのような修行をしているのか、しっかり盗ませて頂きますわ!


「【ファイヤーエクスプロージョン】」


 ……っ! 一撃であのメタリックビーナイトを倒したですわ!? さ、流石としか言いようがないですわね。確かに物理攻撃が効きにくく、魔法の方が効きやすいのは確かですけど、私でも最低二発は必要でしてよ?


 って、あの男魔法も使えるんですの!? ますます謎が深まりますわね。イベントでは途中まで素手で、準決勝は片手剣、決勝は二刀流でしたから、てっきり剣士かと思っていましたら、まさかの魔法剣士ですの!? ますます底がしれませんわ。


 ですが、その分私も強くなれるってことですわね。しっかりと目に焼き付けなくては!


 お、次はグラビティーニュートンですわね。このモンスターは重力を使ってくるとても珍しいモンスターですわね。結構強力ですが、重力は物体にかかるのではなく、場所にかかるので、無理やり移動すれば抜けられる仕組みになっておりますわね。それに本体は弱く発動中は隙だらけですので、パーティで組んでる人には余裕ですわね。


 ですが、あの人はソロ。どうやって立ち回るか見させてもらいましょう。


「……は!?」


 え? 死にましたわ? あんなに強い人が死にましたわ? そんなことありますの? いや、確かにソロでは難易度高めなモンスターではおりましょうけど、そこまで難敵ということでもないでしょう? 本体は弱いですし……え? 何故?


 もしかして、あの強さには制限があって、それをクリアしないと、ゲキ弱ってことですの!? もし、そうならば、強くはなれませんが、いい情報ゲットですわね。


 あーだそーだしているうちに戻ってきましたわね。ってか早くないですの? ソッコーでリベンジしようとしてますわ? まあ、そりゃそうですわね、さっきは不意打ちみたいなものでしたし、警戒していれば、よゆ


「……ほへ!?」


 また、死んだ。それも自分から横になってたわ……そのおかげがどうかは知りませんが、さっきよりも早く死にましたわね。


 これはますます謎が深まりますわね。どうして自分から死ににいくような真似を? そんなことすれば、デスペナルティが増えるだけですわ。いや、これがまさか条件ですわ? 一定回数死ぬことによって強くなる、みたいな能力でしたら一応その行動にも説明はつきますけど、そんな話聞いたことありませんわよ?


 って、また来たですわ。……死にましたわ。


 まあ、いいですわ。暫く様子を見ましょう。


「ふぅ……」


 何時間やってるんですのー!? もう私も隠れて見るのキツいんですのよ? それにしても、あの人は未だにただ死んでるだけですわね。


 ってか、人が圧死するのってかなりグロいですわね……最初はその行為自体が驚きでしたけど、それに慣れて見ますと、人が見えない力によって死ぬことのなんとも不気味なこと……


 最初の方はいいのですが、終わる瞬間にグチャってなるのとか、子供がみたらトラウマものですわ! まあ、嫌いな方はセーフティ機能があるから大丈夫なのでしょうけど……


「あ、え!?」


 ん? 急にあの男が立ち上がりましたわ。あれ? 重力を殆ど受けてないような感じですわ。どういう仕組みですの? まさか、条件が揃ったんですの? 私はずっとしゃがんだ体勢でして、足が痺れてるのですが、いくしかないですわね……


 お、次はゴーバッツですわね。このモンスターは名前の通りコウモリで腐蝕攻撃を使ってきますわね。私はこの安直なネーミング嫌いじゃないですわ。


 ただ問題なのが、この腐蝕攻撃、ちょー臭いんですの……このモンスターは一刻でも早く、相手に攻撃させる間も無く、殺して欲しいですわね……


「って、えー! あっ、」


 危ない、危ない大声を出したらばれてしまいますわね。そ、れ、よ、り! あの男、あろうことか、あのくっさい腐蝕攻撃を全身で受けましたわ!? ありえないですわよ? あれ、本当に臭いんですから、私のところまでにおいが……


「うっ……臭い……ですわ……」


 離れていてもこれだけくるってことは、あの男は相当なはずでしてよ? それなのに、って、死にましたわ。


 えっ、もしかして、もしかして、このモンスターでもあの、死に戻りループをするんですのーーー!!??


ーーースキル【嗅覚強化】を獲得しました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る