第25話 ブリザード
『目標熱源低下、生命反応見受けられません。死亡したと判断します』
ナビィがミオンにだけ聞こえるようにサスカッチが死亡したことを知らせてくる。
「くそっ! あの子たちの仇だっ!!」
ターカーはさらに追い打ちをかけるようにサスカッチの死体に銃弾を撃ち込んでいく。マガジン一個分撃ち尽くしてもターカーはまだ引き金を引いていた。
「ミオン、リディとイザベラは?」
しばしサスカッチを睨んでいたターカーが我に返ると生き残ったリディとイザベラの様子を聞いてくる。
「目視では怪我はないように見えますが……」
「………」
「助けて……助けて……」
リディは茫然としており、イザベラは未だに歯をカチカチを振るえ鳴らして、怯えるように助けてと連呼している。
「とりあえず一旦警備室に運び込もう、悪いが探索は中止だ。すぐに無線で迎えを呼ぶ。ミオンはリディを頼む」
「そうですね……リディさん、行きますよ」
二人の様子を見たターカーは警備室へ一旦戻り、探索の中止をミオンに伝える。
ミオンは死んだ三人の方をちらっと見て、リディの肩を叩いて移動を促す。
ターカーは蹲って動こうとしないイザベラを荷物のように肩に担ぎあげて警備室へと向かう。
「迎えが来るまでここで待機だ。暖房は効いてるんだったよな?」
『施設内の予備エネルギーは8%です。警備室限定で暖房を稼働させるなら約16時間の稼働が可能です』
「ええっと……警備室だけ暖房するなら16時間いけます」
ミオンはARゴーグルに表示される植物園のエネルギー残量やナビィの解説を聞きながらターカーの質問に答える。
「とりあえず、それだけ余裕があれば迎えも来てくれるだろう」
ターカーは無線機を取り出すと、雪豹ギルドの送迎用の雪上車に迎えに来るように通信を入れる。
「……キャサリン……ニノ……ニナ……ごめんなさい……」
リディはマスクを脱ぐとそう呟いて泣き始める。
『PTSDを患っている可能性が高いです。速やかにカウンセリングを受けることを強く推奨します』
「はあっ? 迎えにこれないってどういうことだ!?」
「ひっ!? ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
二人の様子を確認したナビィがミオンにそう告げる中、ターカーが声を荒げる。
イザベラはまだ恐怖がおさまっていないのか、警備室の隅に膝を抱えて座り込み、ターカーの怒鳴り声に悲鳴を上げて、怯えながら何度も謝罪の言葉を繰り返す。
「あ、すまん……大丈夫、大丈夫だから」
ターカーは苦笑しながらイザベラを落ち着かせる。
「どうしたんです?」
「予想よりもブリザードの接近が早いらしくて迎えに行けないだとさ」
ターカーが言うにはブリザードの接近が予想よりも早いらしく、このまま回収に向かうと都市に戻る途中でブリザードにぶつかるらしく、ブリザードが通り過ぎるまで迎えに行けない旨の連絡があった。
「ミオンが警備室掌握してくれて助かったよ。それがなかったら最悪遺跡で凍死していてもおかしくなかった」
ターカーはミオンの背を叩いてそういった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます