8 熊

 その熊を倒すには一発で十分だった。

 人の味を覚えたこの個体さえいなければ、この村は熊に怯えて眠れぬ日々を過ごす必要はない。

 死体を蹴って動かないことを確認して村に降りる。熊を狩ったぞと叫ぶと、村人たちが出てきた。そして悲鳴をあげて散らばった。何事かと思い振り返る。

 あの熊がそこにいた。

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