第29話

後日、フリマ大盛況の話を聞き付けた今村さんから

大量のお礼を貰ったことにより

私はパンとお菓子を自腹切る事は数日はなかった。


私は楽しい時間を彼女に貰った。

言葉の温かみと場所の暖かさを見せてもらったのだから

私こそお礼すべきではないか。


うんうん唸って、近くのスーパーに

直行した。


きっと、お菓子が良いだろう。

それからお茶もつけておくか、と

お茶会セットを今村さんに渡したところ

これまた大喜びされた。


佳代さんは中学の頃に手芸を始めて

それ以来ミシンと布を片手に

作り続けたそうで、学生の時は服飾の道に進みたかったそうだ。

佳代さんの作品にはすべからく

丁寧さという温かみがこもっていた。


おすそ分け、と彼女は言っていた。

作れたものが自分の頭で思い描いていたとおりだった時、誰かの喜ぶ顔を想像できた時、

それを実現できた喜びを幸せのおすそ分け、と。

3話 お針子少女の夢


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