未来(明日)は、どっちだ
近衛源二郎
第1話 神経難病とは
難病という言葉を聞いたことのない人は少ないでしょう。
しかし、難病ってどんな病気なんでしょう。
厚生労働省によりますと、難治性の病気を特定疾患と呼びます。
このような、特定疾患の中でも、特に原因が判明していない。
更に、治療方法が無い病気。
しかも、身体に障害が出てくるような病気。
その病気が、直接死因とならなくても、合併症を引き起こし、死に至らしめる病気。
重症化して、長期に渡って闘病が必要になる病気。
患者本人は、徐々に弱っていく自分の身体に、しんどいことでしょう。
苦しいでしょうし、不安でしょう。
しかも、看病に当たる家族や親族は、大切な人間が、少しづつ弱っていくのに、何も出来ない
という悲しい現実を突き付けられる病気。
そんな病気が、難病です。
不治の病と言われる病気に、以前は癌や結核が入ってました。
しかし、今はどちらもほとんどの患者さんが治ります。
病は気からと言いますし、日本語では、そのように書きます。
しかし、病は気からではありません。
慢心以外のなにものでもありません。
自分は、病気なんかしたことがない。
少々のことなら病院なんか行かなくて良い。
そういう方が、発見が遅れて取り返しのつかない状況になってから病院で、死の宣告されてからあわてるのです。
せめて、定期的に健診を受けるべきでしょう。
難病患者の場合は、その逆になります。
訪問看護師が、週に何回も入って、体調を管理してもらえます。
筋肉の萎縮を、少しでも遅らせるように、理学療法士による訪問リハビリが行われます。
それでも、病気は少しづつ進行してしまいます。
入浴は、不可能になります。
そうなると、バスタブを持ち込む、訪問入浴というサービスを利用することになります。
身体が動かなくなっていくのと同じくして、しゃべれなくなっていく難病があります。
意思の疎通が出来なくなるので、それはもう悲惨です。
透明な文字盤を使って意思を伝えるのですが、これがどうしても時間がかかってしまいます。
埼玉県吉川市の障害福祉課の職員が、ALS(筋萎縮性束索硬化症)の患者に向かって、『時間稼ぎですか』という発言をして、市長が謝罪するという事態がありました。
障害福祉課などという、専門部所の職員にあるまじき勉強不足ではありますが、それほどまでに、難病の症状が知られていないということでしょう。
家族は、これが毎日になります。
しゃべれなくなる難病でも、なぜか目は動きますので、コミュニケーション方法は、文字盤しかなくなってしまいます。
これが、とてつもなく時間がかかってしまいます。
身体が動かないものだから、しっかりとした講習を受けていないと、車イスへの移乗が、とてつもなく大変になります。
それが毎日になり、1日に何回もとなると、家族ですら嫌になるのが当たり前です。
そうして患者は、ベッドに放置されるようになっていきます。
家族も人間ですので、無理を重ねては、いけません、
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