第24話 これからの的
ここは、龍治院1F、少年ソウと
『
ピアは同じく致命傷だったソウの
「『
ソウは聞き覚えのない呼び名に首を傾げる。
「ええ、私たち
ジルの治療を続けながらピアは話す。
「おそらく.....私以外の
(....そうか、あれは.....僕が、前に村で見た物は......
そんな....それじゃ、僕の故郷だった村は...『
「ピア、僕の故郷でも....そいつを....見た.......僕はまえに故郷で僕以外の人を見つけられなくなったんだ、そしたら、そいつが居て...いきなり襲いかかってきたんだ 」
ピアは驚いた。
「!?......そうなのね、あいつは
ピアの体が砂のように足から少しずつ溶けていくようだった。ピンク色だった鱗が生えていた足は、人間の足になっているようだ。
「私が今出来ることは、力がある内に治療を続ける事だけ、貴方の"好き"な竜は死なせないわ......」
ソウはそう言われて少し頰が赤くなった。
「えっ、いや別にっ、そんなんじゃ...ジルさんは僕が尊敬する師匠で、守ってくれた恩人で、その.....」
ピアは幼い子供を見守る母親の様に笑っていた。
「ふふっ.....照れなくてもいいのに、私の
ソウはますます頰を深紅に染めていた。
ソウは黙ってジルの心臓に手を当てた。
ドクンッ............ドクンッ.......
やった! ジルさんの心臓がハッキリ動いてる!
やった! ジルさんの腕が温かくなってる!息もちゃんとしてる!
「う...うぅ.......」
ソウはジルの呻き声が聞こえた。
ジルは一命を取り止めたようだ、ピアの
「よかった……本当に……良かった....ありがとう.....ピア 」
「いいえ、ここまでしか出来なくてごめんね......」
ピアはジルが息を吹き返したのを見て安堵したのかウトウトし始めた。活動限界がきたようだった。
ソウは、ピアの手を握った、いつの間にか人間の手になっていた。
「ピア! 僕はリィラに会ったらちゃんと伝えるよ! それから、スレイプニルは僕が倒す、僕の故郷もそいつに襲われたかもしれない、奴を突き止めて、僕が討ち取って見せる! 」
「....無理しないでねぇ....あなた1人だけでは絶対にダメよ?
仲間を見つけて......リィラも協力してくれるはずよ....それと......命を落とすくらいなら逃げなさい....あなただけが背負う問題じゃないのよ....」
「ピア.....本当にありがとう....ジルを助けてくれて.....約束する、スレイプニルは僕達で倒すよ! 」
「お願い、ソウ......私、貴方達の事"好き"だわ..... 無事を祈っているわ! 」
「ぼ、僕もだよ! ピアさん! 貴方の思いは僕がしっかり受け取ったから、ゆっくり.....休んで......」
ピアはそのまま眠りについた様だ、茜色の長髪で肌が真っ白で綺麗な大人の女性だった。安らかに眠りに落ちている。
***
「ジ、ジルさん……|起きれますか? 」
ソウは倒れているジルを起こそうとする。
「う、うぅ......」
ジルは目を開けた。
「お、俺は.....寝てたのか......」
ジルの目に心配そうに顔を覗く、藍色の髪に金髪が混ざった見慣れた少年の顔が映る。
....そうか.....無事だったか.....良かったぞ......
「よくやったな、ソウ! 助かったぞ! ありがとな!」
ソウはジルにこれまであった事を話した。
***
「なっ、俺の傷はあいつが治したのか!? いや.....ピアだったな、すまん...」
「あのねジルさん、僕はこれから....スレイプニルを倒しにいくよ」
「あぁ、もちろん俺もついていくぞ!....そいつを倒したら、何処か遠くに"逃げる"か!」
「うん! そうする! 」
ソウはジルがついてきてくれる事がとても嬉しかったようだ。心細かったソウの決意にジルが寄り添ってくれた事で、より決意が固くなっていくのを増した。
「まずは、"龍治院"から出なくちゃ、どうやら閉じ込められたままみたいだし」
「あぁ、そうだな、他にも誰かいるかもな、探すか!」
「ジルさん、ちょっと待ってピアを運ぼう....ここに置いていくのは可愛そうだよ」
ソウは急いで先を急ごうとするジルを止める。急に呼び止められて驚いたのか、ジルの腕に生えている黄色の体毛が少し逆立っていた。
「.....そうだよな.....すまん、ソウ......俺が運ぶからな」
そう言ってジルはピアの倒れている方向に行こうとした。
しかし、突如ピアの周りに輪が現れた。奥に夜空の様な青の色調が広がっている輪だ。
「おい! ソウ!」
「まただ! これは一体誰の力なんだ!?」
ピアは沈んでいく輪の奥へ吸い込まれる。
ジルはピアの手を引こうと滑り込み手を伸ばすが寸前のところでピアの手は完全に沈まり、輪も閉じた。
「くそっ! 届かなかった! ちくしょう!」
「あぁ、ピアがやられてしまったか......」
ソウは声が聞こえた。階段から誰か来る。
(誰の、声だ?)
階段から現れたのは
「君たちが、倒したのかい?」
「お前! ピアの仲間か?、敵か?」
ジルは問いかける。
「私は
ウラノスは出口を指差した。
「ここを閉じ込めたのは、私だから。」
ソウは言った。
「ウラノスさん? でしたっけ、ここから、出してくれませんか?」
ウラノスは言った。
「君たちが出られるのは、時間切れで私の竜技、
ソウは言った。
「いや、違う、あと1つある!それは....僕とジルが君を倒した時だ!」
ソウはウラノスに
「よっしゃ!
しかし、雷が落ちたのはウラノスに向かってでは無く後ろの壁だった。
「はっ外れた!?」
ソウは驚いた。確かに見たのだ、心臓に雷の紋章を当てたのを。
「これが、このウラノスの
いつの間にか雷の紋章は後ろの壁に"移動"されていた。
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