第22話 回想

 藍色に金髪の髪の毛が入った少年ソウと稲妻いなずま竜ジルが出会ったのはほんの2、3週間前である。

 "銃の帝国"という場所にソウはいた。

 ソウの故郷は銃の帝国ではない。ソウは故郷の村から逃げたのだった。

 

ソウの故郷の村はある日、生活感を残したままソウ以外の人や龍が突如にしていなくなった。

 ソウは必死になって両親を探した。しかし見つからない。

 

そのとき村の中央で空間が歪んでいくのを見つけた。

 それからソウは"必死に逃げた".......何かに追いかけられていた。

 走っている途中、つまづいた。後ろが一瞬見えた。ソウはすぐに持ち直し、走った。

 

その時見たのは確か、白い目、鋭い爪、尖った牙、黒い鱗に覆われた、あれはまるで獣のような"龍だ"

 ソウは自分でも驚くくらい走っていた。村から離れたところにある、山を越え、荒野を越えた。

 

獣のような龍はソウを途中で見失ったのだろう、ソウは追いかけられてない事を確実に意識した所で走るのを辞めた。

 

荒野の近くに草木が生えて数本の大木が木陰を作っている場所に崩れ倒れた。

 ーーーーソウは目を覚ました。

 辺りを見回した、夕日は茜色に染まっている。

 くたくただった身体も少しは良くなったようだ。

 ソウは喉ききった喉を潤す為水を探した。


 遠くに大きい建物が沢山並んでいる大きい国が見えた。周囲は銅の壁の様なもので囲われているようだったがそれを越える高さを持つ建物が中にはぞろぞろあるようだ。


 ソウは国の中に入った。門は人気ひとけがなかったので、すんなり入る事が出来た。

 

水場を探した。地面は砂利道、周りには茶色な建物、窓ガラスが縦長にあるもの、民家なのだろうか隣接して家が続いていた。その家と家の間の陰に井戸があった、ソウは急いでそこに向かい水を汲み、夢中で飲みつづけた。

 

 久しぶりに飲んだ水はとてもおいしく、体に入っていくのが分かるほどだった。

 

 少し落ち着いた、あまり気づいていなかったのだが、何やら騒がしい音がしていた。奥の方から近づいてくる。

 ソウはそれが人や龍の叫び声だと気付くのに数秒とはかからなかった。

 人や龍が、同じ龍によって襲われていた。龍は銃の様なものを持ち誰彼構わず撃っていた。1人だけではなかった、数人いた、逃げている人は大勢いた。1人また1人と銃弾を浴び倒れていく。銃を構えているその内の1人の龍がソウがいる井戸の方向に向かってきた。

 ソウは逃げようとしたが先に龍が銃を撃ち込む方が早かった。

 ドンッ!

 銃声が鳴り響く。

 ソウは突然の音に目を瞑った。撃たれたのだと思った。

 あぁ死んだから痛くもないのかとも思った。

 しかし、周囲の騒音は聞こえたままだ。

 ソウは目を開けた。ソウに銃口を向けた龍は倒れていた、背中を斬られたようだ。そこには黄色い龍がいた。雷の刃を構えた、龍が。


「……おい、お前はここの人間か? 」


「ぼ、僕は違います。村から……」

 ソウは口を震わせながら言った。


「俺もだ、俺はここに来なけりゃ良かった、俺はここから、逃げる、お前もそうしろ 」


「あの、助けて下さってありがとうございます 」


「別にいい、奴らは無抵抗な人や龍も撃つ、非道い奴らだ、気をつけてな! 」


 黄色い龍は立ち去る。ソウはついていった。

「ん? お前、村に帰らないのか? 」


「帰る村がありません 」


「俺と同じだな 」

 2人はソウとジルとお互いに名を交わしその後の行動を共にし、銃の帝国から逃げた。

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