第16話 vs初恋竜

龍治院1Fは東西南北それぞれに出口があり、中央にはリフトが2つあり東と西に上階へと続く階段がある。


北の出口前には受付カウンターがあり。カウンターを超えると北の出口に出ることができる。しかし今は受付カウンターに人がいる様子は全くないようだった。


そこで、少年ソウと稲妻いなづま竜ジルは闇劇家あんげきかの1人、初恋ウイレン竜ピアとの戦闘に入る。


雷降ライフル!!」

ソウは雷で生成された猟銃を構え、初恋ウイレン竜ピアに向けて撃った。


後ろの壁に稲妻の紋章が浮かび上がる。


次の瞬間、窓を突き破って雷が引き寄せられれる様に稲妻の紋章に向かって落ちていった。


激しい音が鳴り響いた。


1Fにある窓際の鏡や木製の棚がその衝撃で木っ端微塵に煙を巻く。


「ジルさん、ごめん、外した」


「危ないわねぇ、雷が落ちたわ....見るのは"好き"なんだけどねぇ……こうも近くまで撃たれると耳鳴りが酷いし"嫌いに"なりそうだわねぇ」


ピアは西側の階段手前まで退いた。


ソウは雷降ライフルを解除して少し後ろに距離をとった。

稲妻いなづま竜ジルはソウに話す。


「いいか? ソウ 竜との戦闘では相手の動きに注意するんだ、竜は基本的に能力を3つ所持している 」


「分かりました! 」とソウは頷いた。

(確か、竜技りゅうぎ竜力りゅうりき竜能りゅうのうの3つだったね……)

と思い出しながら。


ジルは雷で生成した刃、怒雷武ドライブを構え空中にジャンプした後ピアに高速接近し、剣を振るう。


ピアは突如手に棘を発現させ空中のジル目掛けて投げる。

ジルはそれを雷の刃で弾いた。


その時だった。

棘は突然爆発した。


ジルは爆発に巻き込まれ地面に落とされた。


「ジルさん! 」


砂埃が宙に舞いジルの様子が分からない。


「こいつ! 」

ソウは、雷降ライフルを再び撃とうとした。

ソウはハッとして自分の手元をみた。

(なんで!? 雷降ライフルが発現しない!?)









「ねぇソウくん、あなたが探してるのはこれかしらぁ?」

そう言ったピアの手元にあるのは雷の猟銃だった。


「な、なんで……」


ピアは笑って答える。

「なんでって、"好換こうかん"したからよぉ、それが私の竜技。私はねぇ、好きになったものを私が好きなものとするの」


ーー嘘だろ!? 僕の竜技りゅうぎが……相手の物に!? ……これが……好換こうかんの能力!


ピアは雷降ライフルをソウに向けて構え目を煌めかせた。

「……あぁ、ちなみに私からの贈り物はであなたの手元に届くわよ。まぁ細かく言えばフォーコからだけどね」


「贈り物だって!?」


不意に手元に感触が走った。


(まずい!!)


ソウは、いつの間にか手に刺を握っていた。


ピアは微笑み言う。

「ふふっ......これは、右裁榴ミサイル……私好みの贈り物よ? 好きでしょ?」


ソウは咄嗟に空中に投げたが途中で爆発し爆風でガラスや鏡の破片が飛び散っている窓際に飛ばされた。


……うっ……痛い……頭が、ガンガンする……血?

ーーあぁ、頭と腕から血が流れてるのか......フラフラしてきた。


ソウは意識が少し朦朧とする中で視界に映るピアがソウの雷降ライフルを構えてソウに向けて発射するのを確かに見た。

ソウはその時驚いた。そして自分の胸元を見ると近くにあった鏡が床に吹き飛ばされた時の衝撃で乗っかっていた。


そしてソウはピアの方向を見る、その瞳には、黄色い輝きが映っている。


「さぁ、ソウくん、自分の"好き"な技であの世に行ってらっしゃい 」


追い詰められた状況の中ソウはニヤッと笑い言った。


「僕の竜技、雷降ライフルは雷を落とすだけの竜技じゃないよ、正確には雷を落とす位置の照準を撃った後に


ピアは言った。


「そうね、今あなたの心臓を狙ったからあなたの心臓に雷が落ちるわね.....えっ!?」


ピアは気づいた、ソウの身体のどこにも雷の紋章が無かった事を。


「僕自身も気付かなかった、この雷の紋章は"鏡に反射する"性質があったんだ、そしてその紋章は君の……そこだよ。」


ソウはここぞとばかりに相手に力強く指を指した。勝ち誇った視線の先へと。



ピアはぎょっとして自分の身体の胸元をみる。そこには雷の紋章があった。


「わ、私は雷が"好き"!!」


「僕も"好きだよ"、!」


激しい雷鳴が鳴り響きピアの心臓に引き寄せられるように雷が落ちた。ピアは激しい叫び声をあげ、全身真っ黒に焦げて倒れた。


……ふぅー、危なかった……すっごい、運がよかった……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る