第4話 お風呂
「千鶴、アレルギーとかないの?」
「何心配してくれてんの?」
「いや、お前がぶっ倒れたら後処理めんどくせぇから」
「人を処理とか酷いね」
キッチン越しに、本当にだらしないほどベットで寝っ転がっている千鶴に、ムラムラした。今日は興奮しすぎだ。幸いにもボロが出ていないようで、千鶴に何もしていないが、いざとなったら自制できるか心配である。
カップラーメンが出来上がった頃、テレビではちょうどお笑い番組が始まった。先にカップラーメンと割り箸を彼女の方に持っていくと、それに気づいた千鶴はスマホを閉じて、それを受け取った。
俺は、キッチンに置いてあった椅子をベッドの横に持って行き、そこにカップラーメンを持っていって腰掛けた。
お互いズルズルと麺を吸いながらテレビを見ている。とある芸人のボケに、ツボに入ったのは俺だけでなく、千鶴もだった。そんな無邪気に笑う千鶴の横顔を見て、犯したいと思った。
普通の男性なら、ときめくのだろうか? 多分こんな美少女の笑顔にときめかないものはいないだろう。そして多分好きになるのだろうか?
しかし俺は違う。付き合いたいではなく、犯したいのだ。なぜなら俺の性欲は高い。そしてなにより、付き合えないという前提が確定しているため、それを念頭にしている。
だから俺は彼女のその表情にドキッとするのではなく、ムラッとするのだ。
そして、俺は今それを独り占めしているのだ。
無垢とも捉えられるその表情を崩して、淫れさせたい。どんな姿を見せてくれるのだろうか。
きっと彼女とヤれれば俺は勝ち組になり、この人生に未練はなくなるだろう。そしてポケットしまってあるとあるゴムを、布越しに触った。
「はっ!」
とある時、彼女は青ざめた。まさかゴムがバレのかと俺も恐れていたが違うようだ。
「どうした?」
「……着替え持ってくるの忘れた」
「ドンマイ、俺はちゃんと寝巻き持ってきたけどね」
「うざ」
とはいえそれと勉強道具だけだ。二週間ともなるときっと、もっと必要なものが分かってくると思うが、それはその時でいいと思った。だが着替えは普通忘れないだろう。
「もういい! お風呂入る。それと出た後私のすっぴん見てブサイクとかいったら許さないから」
「はいはい」
何がいいのだろうか、着替えがないのに風呂に入る。まさか、同じ服を着回すのか。もうそれしかないだろう。
とはいえ仕方ないと思った。それに部屋はクーラーが効いており、汗ばむ事もなかったため服は大丈夫そうだ。しかし、明日からはどうだろうか。俺は今着ている私服ともう一つ私服がある、そして寝巻きだ。
洗濯をすればこれで持つだろうが、彼女は私服の一つだ。洗濯したとしても、その時に着る服がない。そして余計な妄想が働いてしまった。
その時間はずっと千鶴の事を妄想をしていた。暑いからと判断したのだろう、風呂は沸かさずひたすらシャワーを浴びているのが壁越しに伝わってきた。
どんな姿なのだろう、見てみたい。そこで考えてみた。
なぜ人は服を着るのだろうか。
身を守るためだろうか。恥ずかしいからだろうか。いや、もしかしたら服は凄いものなのかもしれない。服があるからこそ、裸のイメージを膨らませ、そして魅力を感じる。
夢が叶うと、それはもはや当たり前になってしまう。
それと同じように裸を見てしまえばそれは当たり前になってしまうのだろう。だから男は女の体に魅力を持つのだろう。
ふと彼女が風呂から出たことが、洗面所の中の、風呂場の扉が開いたことで分かった。今、洗面所の扉を開ければ、裸の千鶴。
見たい。でもバレたら終わり。でも見たい。
部屋から抜け、洗面所に向かった時、その扉が開いた。
「「あ」」
終わった……と思った。悲鳴を上げられて、通報され、この生活は初日にて終わり、警察へ行く。そう思った。
開くの早すぎだろ。そう疑問に思ったも納得した。彼女は服を着る代わりに長いバスタオルを巻いていたのだ。洗面所に置いてあったやつだろうか。
俺の童貞本能が、見てはいけないと判断したので、そっぽを向いた。
「おまっ、服!」
「あー童貞には刺激が強すぎたね」
そして右手に脱いだ服が束になって抱えられているのに気づいた。こいつは外で着替えるタイプなんだ。洗面所で着替えて欲しかった。
「ってかなんでここにいんの? あーそっか覗こうとしたのか。アホだね鍵閉めてるのに」
「俺トイレに行こうとしただけだし」
「ふーん。じゃあそのでっかいのは何?」
そう言って千鶴は、俺の股間を指差してきた。
わぁーお、ベリービック。
「尿意が催されると、ここってでっかくなるんだよね」
「嘘つけ」
「それじゃ、トイレ行って次俺が風呂入るね。あ、着替え持ってかなくちゃ」
そして部屋に戻り着替えをとって、彼女の次の言葉を遮るように、俺はトイレへ向かった。
トイレから出て洗面所に向かおうとした時、ふと部屋のベットに腰掛けている千鶴が目に入った。着替えは忘れたのにドライヤーを持参している彼女が、バスタオルのまま俺の方に背中を晒し、髪を乾かしていた。
──本当に細いな。
そう思いながら、風呂場に直行した。
シャンプーは置いてあったようで、俺はそれを利用した。千鶴もこれを使ったのだろうか。
そしてシャワーを浴びていて気づいた。髪の毛が落ちているのだ。それを見て、ここで千鶴がシャワーを浴びていたと、リアルに実感した。
その時、ふと洗面所の扉が開く音がした。
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