転機-マスクを作ってみた。
一葉(いちよう)
第1話 女々しい奴
僕は今日も家に居る天気の良い平日だと言うのに。
高校生になって一か月と少し俗にいう五月病という奴。
ではない四月の中頃から学校へ行ってない。
誰が悪いわけでもない、いや悪いのは自分自身と自分で分かっている。
だから行けないのかも知れない。
いや本当はもっと別の理由、もうずっと昔からそうだった、僕は
それでも小中となんとか女子に助けられ支えられて学校生活を送ってきた。
これはもうこんな情けない自分だけどなんとかやって行けるかな、なんて思っていた今日この頃だったけど高校では状況が違った。
僕は今まで散々周りの皆に情けない姿を見せ続けてきた、もし女子ならメガネドジっ子として救いも有ったかもしれないが、いかんせん男子。
そんな僕は高校生活に賭けたんだ、地元じゃない他市の工業高校、ふつうは男子が多いけどここはデザイン科が有ってそこは男子が少数、ここなら僕が女々しい奴って知ってる奴は来ないはずだし、苦手な男子も少ない、まあ学校全体では男子の方が多いけどそんなに交流が有る訳じゃないし、僕はここで再起を誓ったんだ。
そしてなんと入学二日目にして彼女ができた!
しかも飛び切りの美人、見てるだけで涙が出そうになる。
「岬君彼女いる?いないの、じゃあ私彼女になってあげる」
あっけなく。
やったこんな生活がしたかったんだ、夢のような生活が三年間続くはずだった。
甘かった、電子工業科に同じ中学の同級生がいた、そいつが自分のクラスに現れただけで狼狽えてしまった。
そして最悪の事態に向かって突っ走ってしまった、墓穴を掘ったのだ。
その元同級生は山中と言って僕が苦手なタイプ、いや実を言うと僕は男子は全員苦手なんだ、ずけずけ言われると何も言えなくなる、黙って下を向いてるだけの陰気な男、いや男の腐った奴になってしまう。
高校生になってやっと抜け出せたと思っていたのに山中が現れただけで全てが終わったような気になった。
そしてそれが現実になる。
僕の彼女に山中はこう言った。
「お前こんな奴と付き合ってんのサイテー、こいつホモだぜ知らなかった?見せてやろうかこいつの本性」
そう言うと両腕を広げ腕の中に僕を包み込んだ、そして、
「良いことしてやろう、全部脱がせてやるからな」
思わず出てしまう使い慣れた言葉。
「やめて」
「まだまだ」
ぼくのベルトに手を掛け外そうとする。
「やだ、止めて」
そこでスッと手を放し、
「どうだお前より可愛いぜ」
また僕の方を向いて「ちか愛してるぜひゃははは」
そして僕は最悪の行動をとってしまった。
目をうるうるさせながら逃げ出したんだ。
「ちかー最高!」
山中は腹を抱えて笑っていた。
そして翌朝。
教室に入った途端。
「バッチーーーン」
思い切り頬を打《ぶ》たれた、彼女だった太知≪たいち≫さんに「最低!」と罵られて。
それから二日間太知さんから散々攻撃されたこれまでの岬君じゃなく「おかま」或は「おかまのちかちゃーん」とよばれ突かれ蹴られ胸やお尻を掴まれ。
そして僕は学校へ行けなくなった。
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