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日和かや

序章 始まりの歌

暗い部屋の中心だけが、取り囲む蝋燭によって明るく灯されている。

どうやらそこには、円に縁取られた複雑な図形と、古代の文字が書かれているようだ。

そしてフードを被った男達が蝋燭の間を埋めるように石の床に座り、絶え間なく歌い続けている。

重厚で、計算され尽くした旋律。

それが神聖な歌であるということは、教えられずとも、誰しも分かることであろう。


それは祈り。

尊き想い。


多くの人々の切なる願いを届けるための歌。



――我らを、

終わりが始ろうとするこの世界を救い給え。



どうかまだ見ぬ勇敢な御方よ。



はるか彼方に御坐す、ただ一人の勇者よ。

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