中臣鎌足は"蘇我入鹿の弟"である。

営為つむぐ

はじめに

 近代明治以降、この国では四民平等となり一般庶民でも苗字を持つようになった。現在最もポピュラーな苗字として、鈴木や佐藤、渡辺などが挙げられるが、古代においては

源平藤橘げんぺいとうきつの4種が代表的な姓だった。

 このうち、藤氏こと"藤原氏"が この国で最も繁栄した氏族であるが、佐や江など藤がつく苗字を持つ家の多くが もとは藤原氏の分家であった。

 藤原氏は 7世紀後半、時の天皇から姓を賜り 中臣氏から分かれたとされる一族であるが、この時代、姓を賜るというのは もといた氏族から独立するということを意味していた。

 ちなみに、苗字と姓は 昨今 混同して使われがちだが、本来は全く別の意味合いを有していた。


 藤原氏の祖 中臣鎌足は 大化の改新の立役者であるが、一部では その業績に疑義を抱かれ また、その出自に疑いを持たれている。

 その真偽のほどは 必ずしも明らかではないが、一説では 鎌足は外国人だったのではないかとさえ囁かれていた。

 藤原鎌足を巡る数々の記述には 多分に 後世の潤色があり その肖像は茫洋としているが、それだけに その素姓にも 何らかの手が加えられていることを否定しきれなかった。

 果たして、日本一栄えた氏族の創始者の真の正体とは? そして、もし その素姓が従来 知られているものと異なるものだったとすれば、それを隠蔽した所以とは一体 如何なるものだったのか?

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