第5話

「我が恨み、思い知ったか!」


 完全復活したマルティンが、双剣を縦横無尽に使いこなしています。

 マルティンを裏切った、ドラゴンネイルとご大層な名を使った偽勇者パーティーメンバーが、次々と一刀で殺されたいきます。


 金に汚く虚栄心旺盛で女好きの偽勇者のクリスチャンが一番最初に殺されました。

 二番目に殺されたのは、獅子獣人戦士を名乗るヴィクトルですが、戦士というのは大嘘で、獅子獣人村で盗みを働いて追放された恥知らずです。

 父親の神殿長モハマドの不正で偽聖女となった、高慢な性格で嫌われ者のイオアンナが三番目に殺されました。

 四番目に殺されたのは、大陸連合魔法学院出身を自慢する嫌味な魔術士ニコライだったが、私が記憶を読んだら退学処分になった落第生でした。


 後はソプデト神殿が雇ったならず者達ですが、今のマルティンが相手では、百人千人が同時にかかってきても平気です。

 私が手取り足取り指導して、双剣術だけではなく、足技も加えた総合武闘術にまで昇華させたのがマルティンの戦闘術です。

 今腐れ神殿長モハマドが頭から尻まで縦に一刀両断されました。


 普通ならここまでやれば、王家も守護神も介入して来るのですが、私が強く文句を言ったので、ソプデト神は好きにさせてくれる事になりました。

 ソプデト神が神殿の不正を王家に伝え、神殿の破門と使徒による討伐も伝えたので、王家も介入しません。

 聞き訳がよくて助かりました。

 まあ、聞き訳が悪かったら、力づくでいう事をきかせたんですが、そんな事とにならなくて助かりました。


 それにしても、マルティンはいい漢です。

 私はマルティンを誘惑したかったので、一年くらいかけて強くしたかったのですが、僅か一カ月でアリスランド王国の騎士団長に匹敵する強さになりました。

 嬉しいような哀しいような複雑な気持ちです。

 ですがマルティンを誘惑する事を諦める訳ではありません。


「マルティン。

 まだまだ教えたいことがあるから、一緒に冒険をしませんか?」


「申し訳ありません、ガブリエラ様。

 私は流民を助けたくなりました。

 愚かな王家や神殿のせいで、頼るべき神も国も失った流民を助けたいのです

 このような神殿の不正が他の国でも横行しているのなら、滅ぶ国も増えると思うのです。

 申し訳ないのですが、神を探す旅をしたいのです」


 これは好都合ですね。

 私が神になる覚悟を決めたら、いつでもマルティンと絆を結ぶ事ができます。

 それに母国アリスランド王国のようにするなら、私が神と王妃を兼ねる事もかのうですね。

 ここはもっと親密になれるように、一緒に旅をしましょう。


「分かりました。

 それはとてもいい事ですから、私も一緒に旅をして協力しましょう」


 

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