第23話
「恋愛は自由にすればいいよ。
これほど多くの魔族が復活したんだ。
無理に好きでもない相手の子供を作る必要はないよ。
魔法は魔術書と魔晶石を組み合わせれば使えるからね」
アルフレット様が、アスキス家の女性達と無理に子供を作らないと、宣言してくださいました。
私は内心小躍りしました。
本当に心が狭いと自分でも思いますが、これが偽らない本心です。
ですが、私の安堵は直ぐに打ち消されてしまいました。
「アルフレット様。
ですがこのままでは、自分の子供を抱けないかもしれません。
全く魔力のない私達と結婚してくれる方がおられるとは思えません。
特に男性は、女性に選んでもらえない可能性が高いです。
何とかできないでしょうか?
妻にしてくださいとは申しません。
せめてアルフレット様の子種をいただけませんか」
私は無意識にアスキス家の人達を睨んでしまっていました。
直ぐに視線を外しましたが、私の嫉妬に気づかれてしまったかもしれません。
とても醜い私の本性に気づかれてしまったかもしれません。
アルフレット様がとても真剣に考えておられます。
その横顔を見ているの辛いです。
どうか断って欲しいと願いながら、永遠とも思える時間に耐えます。
「分かりました。
どうしても子供が望めない時は、子種を差し上げましょう。
ですが、それは、どうしてもの場合です。
今直ぐではありません。
三百歳を過ぎても結婚相手に恵まれなかった時に、子種を差し上げましょう。
ああ、私の寿命は心配しなくてもいいですよ。
私はまだまだ若いですし、いざという時のために、精子を冬眠保存しておきます。
私が死んでしまったり、遠く離れた場所にいても大丈夫なように、仕組みを作っておくから心配しなくてもいいよ」
私の心は嫉妬の嵐が吹き荒れていました。
アスキス家の女達がアルフレット様の子種をもらえる!
性的な接触がなくても、アルフレット様の子種を宿せるのです。
子供を生むことができるのです。
八つ当たりだと分かってはいても、アスキス家の女達に憎しみの感情を持ってしまいます。
「カチュアはどうしたい?
顔を変えて人間の世界に戻り、人との間に子供を生みたいかい?
私の養女として、魔族と結婚して子供を生むほうがいいかい?
私達魔族と違って、人族の寿命はとても短い。
私が若返りの魔法を使っても、三百年が限界だろう。
私に手伝えることは何でもするから、やりたいことを言ってごらん」
本当に言っていいのでしょうか?
私の本心を、私の願いを口にしていいのでしょうか?
口にしたら蔑まれてしまうのではないでしょうか?
でも、口にしなければ何も手に入れられないのも分かっています。
迷います、どうしても迷ってしまいます。
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