第31話
「何か変わったことはあったか?」
ジョージが臨時に城代を務めていた副騎士団長に聞いています
「はい、王家の使者が何度もやってきております。
今は日に何度も領界に現れます」
副騎士団長の返事はベヒモス様から聞いていた通りです。
もうしばらく同じように追い返してもらいましょう。
相手にする価値もありません。
話をするにしても、もっと反省させなければなりません。
王家には反省という言葉がないようですから。
「やってくるのは王家の使者だけか?」
ジョージが他の報告も聞いています。
私はベヒモス様から聞いて知っている事ですが、ジョージは知りません。
知らせなければいけない事なら、アオとアカを通してジョージにも伝えるはずですから、私から話さない方がいいと思います。
「いえ、多くの貴族家から使者が来ております。
仕官を求める牢人や冒険者は、ご指示通り臨時雇いで騎士団や徒士団に加えて、素行と実力を確かめております」
「王家や他家の密偵が紛れ込んでいるのだろうな?」
「はい。
間違いなく紛れ込んでおります。
我々が見極められる相手はいいのですが、なかには上手く隠している練達の者もいると思われます」
確かにこの領地の事は気になりますよね。
戦う事がなくても気になるでしょうが、今は王家と臨戦態勢になっています。
王家はもちろん、全ての貴族が戦々恐々としているはずです。
普通なら王家の命令に唯々諾々と従って、この地に攻め込んできます。
ですが私が精霊様たちに愛され、亜竜種すら楽々と狩るのは知れ渡っています。
そんな私に戦争を吹っかけるのは、命知らずを超えて単なるバカです。
全ての貴族家は、王家に味方するか私に味方するか見極めようとしています。
単純な戦闘能力なら私に、いえ、アオとアカに勝てるモノなどいません。
ですが王家も長年この国に君臨しているのです。
聖剣や魔剣はもちろん、多くの魔道具も蓄えています。
盲目的に忠誠を尽くしてくれる貴族家もあります。
総合戦闘力では王家が上かもしれないと考える貴族家もいるでしょう。
皆それを確認したいのです。
自分たちが生き残りたいのもありますが、家臣領民の命もかかっているのです。
「我々の実力は披露しているのであろう?
亜竜種の素材を使った剣や鎧を間近にみて、勝てると考える者はいないであろう」
ジョージの言う通りです。
王家と私の家臣の実力差は、純粋な技や力の差だけではありません。
装備している剣や鎧の差が大きく影響します。
その事は密偵から報告を受けているでしょう。
ですが、ここで念を押しておくべきです。
無用な人殺しがしたいわけではないですから。
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