第14話

 ウォオォオオオオ!

 

「お見事でございます!

 お嬢様!」


「まあ、私ではありませんよ。

 アカが狩ってくれたのですよ」


「いえ、アオとアカはお嬢様の従魔でございます。

 従魔の戦果は主の戦果、お嬢様の戦果で間違いありません」


「ウフフフ、そう言ってもらえると嬉しいわ。

 この戦果は城代としての戦果で、騎士団や城兵の費用に回せるのよね?」


「はい、甘えさえていただきます」


 事前に打ち合わせした芝居です。

 予定通りの効果があればいいのですが。

 まあ、でも、これで効果がでなければ、次の手を考えればいいことです。

 今は狩った腕龍の事だけ考えましょう。

 七十トン級の腕龍を、城近くまでおびき寄せ、将兵だけでなく、住民や入り込んでいる密偵にも、アオとアカが狩るところを見せつけ、私の力を広めさせるのです。


 それができれば、私に領地を与えるという話がなくなることはないでしょう。

 荒廃してた王太子領ではなく、もっと豊かな領地が与えられるかもしれません。

 王太子領がそのまま与えられるとしても、王太子に金を貸していた貴族たちからの嫌がらせがなくなる可能性が高いです。

 そういう事を考えて、今回のアピールとなったのです。


 それに、七十トン級の腕龍は、競売にかければ最低でも四十二億小銅貨で落札されるという話です。

 四十二億小銅貨あれば、二万一千人もの従士を一年間養えるのです。

 それ以上に大きいのは、腕龍の素材で創り出した武器や道具を、城の備品として常備し、騎士や従士や徒士に貸与することができるのです。


 腕龍の皮で作った皮鎧は、一般的な騎士が装備している板金鎧よりもはるかに堅固な防御力を持っています。

 普通の騎士が使う鋼鉄製の剣では刺し貫く事はできません。

 いえ、ミスリル銀や魔獣の牙や爪から作った魔獣剣でも刺し貫けないと聞きます。

 しかも皮鎧ですから、騎士だけでなく従士や徒士でも装備することができます。


 次に武器ですが、腕龍の牙・爪・骨から作った武器は、恐ろしいほどの切れ味があるのです。

 鋼鉄製の鎧どころか、ミスリル銀製の鎧やオリハルコン製の鎧さえ、刺し貫き一刀両断にする切れ味だと聞きます。


「ジャスパー、我が家の職人だけで加工はできますか?」


「領都の職人や領内各地の職人を集めれば、時間はかかっても可能だと思われます。

 お急ぎならば、王都の職人や他の貴族家の職人に依頼することも可能ですが、それでは素材が流出してしまう可能性があります。

 大きな素材は管理できるでしょうが、切れ端などは管理しきれません。

 ですがその切れ端を剣や槍の先端につけられると、我が家の将兵が危険にさらさねかねません」


 さすがは我が家の職人です。

 我が家の危険になりそうな事を避けようとしてくれます。


「分かりました。

 ジャスパーに任せますから、加工はこの城の中に限ってください」

 

 

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