第9話
「お嬢様。
いえ、ご城代。
これは私個人のお願いなのですが、勤務時間中に狩りをなさるのなら、公休日にも狩りをしていただきたいのです。
騎士や徒士が公休日でも遠慮せずに狩りができるように、配慮してやって欲しいのです」
ジョージが苦悩のにじむ表情で頼んでいます。
本当に責任ある地位と言うのは大変なのですね。
あらゆる立場の人間に配慮しつつ、役目を全うしなけれいけないのですね。
ジョージはこの辺境の地を護るのが仕事。
他国の侵攻や魔獣の暴走に対処するためには、騎士団の武と士気と収入の維持を最優先に考えなければいけないのですね。
「分かりました。
ジョージの立場と責任と義務は、ある程度は想像できます。
ですが全ては分かりません。
だからこれからも率直に諫言してください。
いいですね?」
「はい。
お聞き届けしていただき、ありがたき幸せでございます。
城代であるお嬢様の汚点にならぬよう、誠心誠意お仕えさせていただきます」
ジョージの忠誠心と真心が伝わってきます。
涙が出るほどうれしいです。
婚約者と妹に裏切られた私には、何物にも代え難い宝です。
ジョージだけでなく、他の騎士団員や徒士も、多少の差はありますが、みな忠誠心と真心を私に捧げてくれます。
私もそれに応えなければなりません!
侯爵家の令嬢として、城代として、騎士や徒士の誇りと生活を向上させなければいけないのです!
まずは増収です。
騎士団も個人も収入が増えれば、よい武器や装備を購入することができて、戦闘力が向上するはずです。
「ジョージ、できれば毎日狩りがしたいです。
騎士団や城兵のローテーションを組んでください。
アカとアオのどちらかが私を護り、どちらかが狩りをします。
付き従う騎士や徒士には、魔獣を追い込む役か、止めを刺す役を任せたいのです」
ジョージは少し考えてから返事をしてくれました。
「先日のアカとアオの戦いぶりを見ますと、純粋に狩りの成果だけを目指すなら、騎士や徒士など不要、いえ、邪魔だと思われます。
ですがご城代が騎士団や城兵の戦闘訓練と考えられるのなら、騎士団や城兵の能力に合わせた魔獣を彼らに追わせ、アカとアオに狩らせる方法が一つです。
もう一つは、騎士団や城兵が止めをさせる程度の魔獣を、アカかアオに追ってもらい、騎士団や城兵に斃させる方法でございます」
「ジョージはどちらがいいと考えますか?」
「騎士や徒士が止めを刺す方が安全だと考えます。
魔獣を探しているときに強敵に出会い、瞬殺されてしまう事もありますから」
「分かりました、その予定でローテーションを組んでください」
「はい、承りました」
「ご城代!
一大事でございます!」
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