第17話 ダ、ダメ
「しょうにー。もうだめ。でちゃう」
「もう少しだ我慢しろ」
「動けない…」
「俺に乗れ」
「う、うん」
この状況では俺に従うしかないだろう。
「しょうにー。揺らさないで…でちゃう」
「もうすぐいくから我慢しろ」
「我慢できない」
「じゃあ揺らさないように頑張るよ」
俺の上に乗っているミミちゃんは今にも泣き出しそうだった。まあこの状況じゃそちゃあそうなるわな。
「もうすぐいけるからな」
「もう少し我慢できる…」
揺らさないように急ぐからな。もう少し待ってくれよ。
「ふぅー間に合った。ほらトイレ行ってこい」
「うん」そう一言言ってトイレに行った。ギリギリ間に合ってよかったな。もう少ししたらみんなも来るだろう。さすがに間に合わなかったらいろいろとやばかったな。
「しょうにー。ただいま」
「おう。みんなのこと迎えに行くか」
こくりと首を振ったのでそのまま向かうことにした。入り口で待っていればすぐに来るだろう。……
入り口に向かっていると一つの建物が見えた。
「……これトイレじゃね?」そう呟いて、近づいてみるとやっぱりトイレがあった。
「ここにいあるじゃん」
「ごめん。来るときは気づかなかったんだ」
ほっぺを膨らませて「むぅー」と言っている。
「ごめんって」
「しょうがないから許してあげるよ」
「ありがとう」
そう言っていたら後ろから元気な声で急に「翔」と呼んできてビックしてしまった。
「びっくりしたな」
「ご、ごめん」
その後ろから月咲が
「ほら、翔。今日はここじゃないだろ?」
「ああ。わかってるって」
そう今日は公園に来たんじゃない。もっと楽しいことをしに来たのだ。それは
「ボー…」「ボーリング早く行こ!」
俺が言い終える前に都逢ちゃんが急かしてきた。そんなに楽しみなんだろうか。俺もボーリングは久々だ。うまくできるか少し心配でもある。
「翔さんはボーリングやったことありますか?」
「あるけど。ルナとミミちゃんは無いの?」
「前からやってみたいと言っていたんですが、結局行ってなくて」
「まあ誰でもできるようなスポーツだから。なんならいろいろな設定できるし」
例えばガーターにならないとか。
「ルナ行ったことないんでしょ?じゃあ教えてあげるよ」
「あんたに教えてもらうくらいならやらないわよ」
「なんだよそれ」
いつも通り二人は口げんかしていた。飽きないよな本当に。
「じゃあボウリング場に行くか」
「どこにあるんでしたっけ?」
「確か、電車で少し言ったとこだったはずだぞ」
「たぶんそうだったはず」
無事にトイレも済んだところで電車の中に向かった。
電車まであと半分ってところで今度は都逢ちゃんがトイレに行きたいと言い出した。
「あと少しだから我慢できる?」
首を横に振ったのでまた近くのトイレを探した。が駅まで見つからなかった。
「うぅ…」
「じゃあまた俺先に行くから」
そう言って先に向かった。
今回は何事もなく駅に迎えた。危ない。さっきトイレ行っとけよ。
「っと、俺も行っておくか俺まで行きたいってなったらシャレにならないよな」
トイレから戻って都逢ちゃんと合流した後に…
「誰ですか?先を急いでいるので」
「やめろ。ナンパはお断りだ」
「いいじゃんか。いいとこ行こうぜ?」
「俺たちと来れば楽しいよ」
はぁ、めんどくさい。ああいったものは本当にやめてほしい。
「おい、やめろ。さっき言ったのが聞こえなかったのか?」
俺が注意しようとしたら、月咲がそう言っていた。
手をつかみ、思いっきり転ばしていた。そういえばあいつ昔柔道やってたな。俺でも勝てないかもな。まあ俺も柔道やってたし、多少はね。不意なら絶対に勝てないだろうな。
2人組のナンパ男どもは起き上がり、どこかに走っていた。ああいうのはやめろ。そういえば、月咲はよく絡まれたよな。ああいうのに。そのたびに毎回ああやっている。
「なあ月咲、やめとけよ。そういうの」
「まあ、めんどくさかったからな」
「すごいですね。って…ミミ、大丈夫だよ。もう怖い人は行ったから」
「うん」
ぐすん。としていたが少しづつ笑顔を取り戻してきた。
「気を取り直してボーリング場に行くか」
「いいな。私もナンパされたい」
「馬鹿なこと言ってないでほら行きますよ。都逢」
「はーい」
そうしてボーリング場に向かう電車に乗った。
この寮がおかしい 天ノ黒月 @Ama-Kuro
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