お眼鏡にかなわなかったようなので、戯れてもいいですか
すみ 小桜
第1話
ひんやりとした床はピカピカに磨き上げられた大理石の様で、座り込んだ僕をぼんやりと映し出していた。
アプリコット色の髪は、後ろ髪だけ胸より長く三つ編みにしてあって、今は左側から垂れ下がっている。大理石をマジマジと見つめる瞳は、バレンシア色でパッチリとしてのぞき込んでいた。
どう見てもVRMMORPGゲーム『夢の大陸カエアルド』の僕のキャラ『スペランザ』だ。
じゃやっぱりちゃんとINしているって事だよね? でも確か昨日は自分の
顔を上げ辺りを見渡せば、三人の日本人らしき人物と魔法使いの恰好をしたNPCだと思われる人物が10人ほど。
一人は女の子だ。セーラー服の女子高生? 長い髪を後ろで束ね眼鏡をかけている。あ、優等生タイプだきっと。
もう一人は、男子高校生だろう。こちらは、グリーンのチェックのブレザー。この人も眼鏡をかけていた。
最後の一人は、サラリーマンかな。スーツ姿で手にカバンを持っている。あ、この人も眼鏡している!
あ、そういえば僕もしていたっけ。
「はじめまして。私は責任者のヨープと申します。私の言葉が理解できるようでしたら、頷いて頂きたい」
50代から60代ぐらいの強面の魔法使いで、翠色の髪に銀のローブが映えている。他の魔法使いより偉い立場だとわかった。他の魔法使いは、白いローブだ。
どうしようとかと思ったけど、クエストなら頷いた方がいいだろうから頷いた。三人も頷いている。
「よかった。実はあなた達を召喚術でこの世界にお呼びしました」
あ、勇者召喚のイベント? そんなのあったっけ? 強制的って珍しい。
「マジ? 勇者召喚ってか?」
「何です、それ? ……誘拐」
「一体、どうなって打ち合わせの時間があるので、こ、困る」
うん? あれ? 反応が……ちょっとまてよ。セーラー服にブレザー、スーツってゲームの衣装になくないか? まあセーラー服ぐらいはあったような。でもこんな普通の衣装ではなかった。
もしかして、この三人もNPC!?
ランダムでチーム組んでやるクエストじゃないの?
待て待て、僕は戦士系でも魔法使い系でもないんだけど。
「あぁ、わかります。ですがもう戻れません。どうか、お願いします。この世界を救って下さい」
ヨープが頭を下げると周りの者も一斉に頭を下げた。
「戻れないだって! それは困る」
「どういう事なの?」
「本当に勇者召喚かよ」
これって僕もやったほうがいいのかな?
「えー帰れないの?」
僕も言うと、三人がえ? っという感じで僕に振り向いた。なんで?
「おたくも召喚された人だったの?」
男子高校生がそう聞くので、そうだと頷く。
「うそ。変な恰好しているからこの人達側だと思っていたわ」
「一人だけ浮いているな」
三人が僕をマジマジと見つめる。
いや何、この予想外な展開。
確かに僕だけ、ゲーム内の装備だけど。見せる衣装に似せて作ってある防具に、斜め掛けのアルケフト専用鞄。でも普通のに偽装してある。
「と、とりあえず、召喚されし者は、凄い力を持っていて力を合わせる事により瘴気を打ち消すと言われています」
「瘴気? 魔王退治とかじゃないのか?」
「退治ではなく、浄化です。ですが、モンスター退治もお願いしたい」
男子高校生の質問の答えによって、浄化クエストだとわかった。まあこれなら何とか僕でもできるか。どうやらこのNPCと組んでクエストを進めるみたい。
「では、鑑定させて頂きます」
そういうと、僕たちの足元に魔法陣が浮き上がり光が僕らを包んだ。
「きゃ」
「なんだ?」
「おぉ」
驚いていると、それぞれの目の前にステータスが浮かび上がった。
うぉ、勝手にステータスがオープンにされた! 焦ったけど全員NPCだからいいか。それにメガネでレジストになってるはずだし。
あ、この場合はまずいのか?
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ネーム:スペランザ 年齢:10歳 LV:1 ジョブ:?
スキル ?
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おぉ、レジストが効いている。ってレベルはランダムなのに1って笑える。これ大丈夫なのか? それよりパラメータが表示されていないのは、レジストしたからか?
ほかの人の見ればわかるか。どれどれ、どんな感じなんだ。
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ネーム:オオムネ・シュン 年齢:17歳 LV:107 ジョブ:―
スキル 剣術:LV19 トーク術:LV5 座睡:LV1
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ネーム:ササカワ・イツカ 年齢:16歳 LV:122 ジョブ:―
スキル 魔術:LV21 魔法抵抗UP 調理:LV7
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ネーム:マキモト・リュウノスケ 年齢:39歳 LV:157 ジョブ:―
スキル 弓術:LV17 命中UP 隠蔽:LV3 投資:LV33
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な、なんだこのステータスは!?
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