男子高校生とお爺ちゃん幽霊(赤の他人)。同じ痛みを持つ二人が偶然出会ってお互いに引き寄せられ……。桜の花にまつわるそれぞれの思い出から話が展開して行きます。コメディタッチのスタートから、しっとり読ませるラストまで、全く無駄なくスマートに書かれている良作です。個人的にはこのお爺ちゃん幽霊とお友達になりたい……もにょもにょ。
男子高校生と気さくでちょっと口うるさいおじいちゃん幽霊。この組み合わせがとても魅力的です。二人の関係は、とても絶妙なバランスの上に立っています。最後まで読んで、この先はきっとこうなるんだ、と書かれていないのに予想ができる。そんな春に空を見上げたとき、これから進む道を夢見るような読後感です。
金縛りには、なれてるつもりだった。そのとき現れるおじいさん。文章うまいです。特に最終話が見物です。意外な展開。そして、情景が印象に残ります。いいラストでした。