12.7

 メイド達にルッツを任せ、ヤンと二人で出掛けた。買い物とお茶と、新しいドレスの仕立てを頼んできた。ヤンはまだ必要ないと言っていたが、当主として妻に古い服ばかり着せる訳にはいかないと、そして俺も新しいドレスを着たヤンを見たいと伝えたら納得してくれた。

 ヤンが選んだのは、淡い薄紫の布だった。紫はヤンの色であり、俺は好きだ。父の代から世話になっている仕立て屋だから、きっとヤンによく似合うドレスを作ってくれるだろう。


 俺が思うに、ヤンには白が似合う。結婚式で見たウエディングドレス姿のヤンは、とても美しかった。今でも美しさが損なわれることなど一切無い。日常には日常の、特別な日には特別な日の美しさを見せてくれる。

 こうしてヤンのことを想っていると、誰彼に見せびらかしてやりたいような、俺だけの目に留めておきたいような、不思議な気持ちになる。

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