27.6

 年長のメイドがルッツにと小さなぬいぐるみを作ってくれた。一部分が取っ手のように細くなっていて、ルッツの手でも掴めるものだ。早速ルッツに渡してみたら、喜んで振り回していた。物を掴む良い練習になるだろう。

 ルッツも気に入ってくれたし、ヤンも彼女に作り方を聞いて自分は音の鳴るぬいぐるみの玩具を作るのだと意気込んでいた。ヤンにとって良い息抜きになってくれたら嬉しく思う。

 どうしても今の俺達の生活の中心はルッツになるが、いくら母親とはいえヤンの人生はヤンのものだ。ヤンが苦しい思いをしていたら意味がない。ルッツの幸せもヤンの幸せも同じくらい、俺にとって大切だ。

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