18.6

 ルッツは俺の部屋にもだいぶ慣れたようで、不安よりも興味が大きいような様子を見せている。もう少ししたらこの部屋も俺の持ち物もルッツの玩具になるのかもしれないと思うと、つい笑ってしまう。俺自身もきっと、遊び道具になってしまうのだろう。


 この家は一般的と呼ぶには大きいし、貴族と呼ぶには歴史が浅い。この家だからこそ得られることもあるのだろうし、この家では得られない経験もあるのだろう。だからせめて、俺はただの優しい父親でありたい。そして、ルッツにはルッツが考える未来を、自由に追いかけて欲しいと願う。

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