13.5

 少しずつ、ヤンが眠っていても、ルッツに触れられるようになった。

 壊れてしまいそうで怖かったが、赤ん坊とはいえルッツは俺達と同じ人間だ。俺が触れた程度で壊れない。昨日それを知って、それからは出来るだけ、自分からもルッツに歩み寄るようにしている。

 今日は頬に触れてみた。ふにふにと柔らかく、幸せを集めたらこんな感触なのだろうなと思う。

 眉も、睫毛も、薄らとあるかないかだ。ヤンと同じ紫の髪を撫でてみたら、見た目以上にふわふわとやわらかだった。ひょっとしたら、髪質もヤンに似ているのかもしれない。


 両親から手紙の返事が来た。ヴァルターと一緒にまた三日ほど滞在したいというから、誰か留守を任せられる者を送ろう。

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