12.5

 初めて、ルッツを抱いた。

 ヤンが見守ってくれる中で、初めて手に触れたら、俺の指を握ってくれた。小さくて、あたたかくて、やわらかくて。愛おしさで胸がいっぱいになった。

 抱いてみるかと言われたものの抱き上げ方も分からずに戸惑う俺を見て笑って、ヤンは抱き上げたルッツを俺に託すかたちで、ルッツを抱かせてくれた。

 想像よりもずっと重かった。いのちの重さだ。じんわりとあたたまるような気がして、俺の腕にすっぽり収まってしまうルッツの存在が、とても大きい。


 抱き上げた時に、また微笑んでくれた。しっかりと目に焼き付けた。幸せだ。

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