9.5

 朝、ヤンとルッツの寝顔を見てから仕事をすると調子が良い。二人の顔を思い浮かべるだけで、幸せでいっぱいになる。

 何をにやけているのかとテオドールに怒られるのだが。


 起きていられる時間が、ヤンと噛み合わなくなった。夜、満足に寝られないヤンには、ルッツが落ち着いているときはいつでも昼寝をして欲しいと伝えてある。念の為に食事も部屋に運ばせているから、共に食事も出来ない。寂しさはあるが、俺が我が儘を言うわけにもいかない。それに、俺が部屋に行くことは出来る。料理人達も気を遣って、ヤンの部屋で食べられるようなものを用意してくれる。

 部屋を訪ねても起きていたり寝ていたりだ。ルッツはまだ、寝ていることが多い。起きていてもぼうっとしているように見えるのだが、それがとても可愛い。小さな指が動いていると、何とも言えない気持ちになる。触れてみたいが、触れたら壊れてしまいそうで、まだ怖い。せめて、ヤンが起きている時にしよう。

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