28.4
昨日の晩、あのまま俺の部屋にいたヤンが知らない間に俺のベッドで寝てしまっていたから、使用人に掛布団を頼んでソファーで寝た。
ヤンはしきりに謝っていたが、お腹が大きくなってからは別に寝ていたのもあって久し振りにゆっくりと寝顔を眺めることができたから良い。
ヤンの寝顔は、普段心掛けているだろう振る舞いと違って子供らしく、可愛らしい。何の夢を見ているのか口をもごもごと動かすのも、口元に手をやって眠るのも、昔から変わらない。過去のヤンは衣食住に不自由する生活を送っていたと本人から聞いたが、家に来た頃からは出来るだけ空腹を訴える前に食事を取らせるようにしていた。それでも、口癖のように腹が減ったと言ってはいたが。
結婚してからは、旅をしていた頃やメイドだった頃よりも豪勢になっている、筈だ。料理人達も気遣って、幼い子が憧れるような彩り豊かなものをと出していてくれた。ヤンがそれに多少慣れるまで、使用人達もわざとヤンに仕事をさせまいとしてくれていた。強引な気もするが、頼まれる立場から頼む立場になったと自覚するには充分だっただろうと思う。
ヤンの見る夢が、空腹に苦しむものから、お腹いっぱいに好きなものを食べて幸せに溢れるものになっていることを願う。
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