27.3

 今日は使用人達との話し合いの場を作った。この家で働くにあたって継続した方が良いこと、改善すべきことを聞きたいと考えた。使用人ではあるが、俺は彼らを共に働く仲間だと思っている。環境を変えられる俺こそ、積極的に皆の意見を聞くべきだ。

 テオやヘレナなら普段から物怖じせず意見を聞かせてくれるが、新人はきっとそうもいかないのだろう。だからこそ今日は新しく来た使用人を中心に呼んだ。叱られると恐れていた彼らの緊張を解すのには時間がかかったが、最後には少し打ち解けられたようで安心した。


 部屋のどこに何があるか分からない。

 これは、慣れてもらうことも必要だろう。私室となれば尚更だ。しかし、調理室や物置きなどは改善できる。同作業で使うものは出来るだけ同じところに置いて、新人にも分かりやすくできないか考えてみよう。

 掃除用具の新調をしたい。

 すぐにでも叶えられるが、使えるものは最後まで使い切りたいとも思う。貧乏性と言われればそれまでだが、だからといってまだ使えるものを捨てるのには抵抗がある。しかし、古い道具では仕事を進めづらいのも事実なのだろう。今度、ヘレナと共に取り替え時の道具を選び、買い替えようと思う。

 俺やヤンの前で緊張してしまう。

 これも、ある程度の慣れが要る。テオドールは幼馴染のようなものだし、ヘレナは父の代からの使用人だ。二人が俺に親しいから、余計にそう感じるところもあるのだろう。仕事に入ってもらう時にも伝えてあるが、再度うちは元々平民であることを説明し、他の家では叶わないことを叶えたい、うちだからこそできる働き方をして欲しいと言った。

 俺は、俺とヤンだけじゃなく使用人にとっても過ごしやすい家を作りたい。この家で働いて良かったと思って欲しい。

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