第3話 もふもふと幻想。

 最初に仲間にする魔獣といったら、やっぱりスライムだよね。丸っこくてぽよぽよして可愛いやつ。

 ぷにぷしたい。もふもふも早くしたいな。ウルフなんていいかも。




 ――――――――――――――――――


 それにしても、 歩けど歩けど草、草、草……何もない。誰もいない、魔獣もいない。何でこんなに何もないんですかね。

 しかしのどかだな~。和やかな気持ちになりますね。風も心地よいし。晴天だし。草以外になんか生えてないかな? ちょっと、調べますか。


【鑑定】


 ……ただの草って出たよ。なんだよ、ただの草って。そりゃそうか。


 さらに進んで行くと、群れをなして、草を食べてる生き物に遭遇した。


 おっ初魔獣かな? 魔獣って草食べる?


【鑑定】


 名前:なし

 性別:雌 雄 雄 雄 雌 雄 雌 雌 雄 雄

 種族:牛 種類:キケ牛

 職業:家畜


 おっといっぺんに鑑定なった。なんだ牛さんか。職業家畜って……職業にされると、なんかいたたまれない気持ちになってくる……。


 茶色とか、白黒のブチ模様とか、普通に牛さんだよね。前世となんら変わらない。いや微妙に違うな。何が違うって言われると……。大きさですか? こっちの方がちょっと大きい気がする。いや明らかに違う箇所あった。耳が垂れている。垂れ耳牛さん、可愛い気もしないでもなけど、どうなんだろ。

 美味しそうに草食べて。うん、いっぱい食べて大きく育つんだぞ。牛さんを撫でた。


「こんにちは」


 ――――――ビクッ!! 突然後ろから声を掛けられた。


 振り向くと、一人のおっさんが立っていた。

 肌黒く健康的なマッチョな男性である。自分とは真逆ですね。


「こんちには」


 返事を返し、【鑑定】した。


 名前:おっさん Lv20

種族:人族 種類:人間 性別:男 年齢:35

職業:牛飼い

HP40/40

MP20/20

筋力C 精神力D 敏捷D ストレス2。


 職業が牛飼い。だからここに牛さんがいるのね。牛さんの職業……。


 Lvが20でHP40。心做こころなしか少ない気がするしますね、

 牛飼いだからかな。冒険者とかはどうなんだろう? まぁいいや、考えるだけ無駄ですね。


 でも、筋力がD。こっちはステータス化されてるけど、数値じゃないね。何故、自分のが見れないのかはわからないけど。

 それよりストレス判定がある。これは中々面白い。使えそうですね。前世でもあればよかったのにな。


「すいません、この近くで、村とか街とかありませんか?」


「あんちゃん、この辺初めてかい?」


 この辺というより、この世界が初めてですね。


「まぁ、はい、そうですね」


「そうか。1番近いのはあそこの森を抜けて、ちょっと行った所にロール村ってのがるよ。」


 右前方を指して言った。


「で、その先北へ行けば、街があるけど、半日ちょっとはかかるね。もし、街に行くなら1度ロール村に寄って行きな」


「ありがとうございます。それと、 この辺り、全然魔獣を見ませんが居ないんですか?」


「この辺は滅多にいないな。穏やかなもんだよ。森の奥の方ならいると思うよ。まぁ好き好んで近づく奴はそうそういないだろう。」


 森ですか、いることはいるんですね。いるならそれでいいんですよ。う~ん一度村に寄ってから森でも行こうかな。


「わかりました。今から村に行きますね」


「もし、村で飯を食うなら、定食屋があるから、そこで食いな。オススメ料理はキケ牛のステーキだ!! この牛だよ。俺が育ててるんだから美味いぞ」


 おっさんは牛さんのシリを叩いてニカッと笑った。


「それと、これやるよ」


 そう言い、木の筒らしき物を渡してくれた。


「この牛の、しぼりたてのミルクだ。美味いぞ」


 これはありがたいですね。牛乳好きなんだよね。しぼりたてとか最高。


「ありがとうございます。遠慮なくいだきます、では失礼します」


「おう、気をつけてな」


 手を振り別れた。なんて親切な人なんだろう。


 よし、ロール村に行こう。


 森って言えば妖精いるかな。エルフとか居ないかな。見てみたいな~。どんだけ美しいのかな。容姿端麗ってイメージあるからね。


 そう思ってる内に森の入口に着いた。森というより、雑木林が立ち並ぶ風景って感じだった。さて、入りますか。


 少し進むと、きのこがいっぱい生えてる。食べれるかな。


【鑑定】


 名前:マリタケモドキ

 種類:きのこ キメシジ科

 食べられるが食べ過ぎ注意


 名前:グンテタケ

 種類:きのこ グンテ科

 毒きのこ


 名前:ワライタケ

 種類:きのこ ヤデンナ科

 毒きのこ


《スキル【鑑定】がLv2になりました。》


 おっもうLv上がった。


 食用に毒きのこか。とりあえず採りますか。


 マリタケ×20 グンテタケ×15 ワライタケ×18

 手にれた。


 ちょっと疲れたので休憩することにした。軽く木陰で、木にもたれ掛かりながら、先程貰った牛乳を飲んだ。


「これは美味いぞ」


 しぼりたてだからだろう、かなり濃厚。それでいて優しい味わい。こんな美味しい牛乳は初めてだ! でもちょっとぬるかった。


「きゃ――――――――――――っ!!」


 ブホツツツ!!!


 どこからか聞こえてきた悲鳴に驚いて、思わず牛乳を吹き出してしまった。


 なっなんです? 慌てて声のする方に走った。


 ちょっと行くと、小さな池かな? 水辺に、魔獣らしき5、6体に小さな男女が 、囲まれていた。


 なんだあれは……あの物体は……グロい!

グロすぎ! 気持ち悪い!

 まさかっ。いやまさかな~。でもあの感じ、いや違うと言って!!


【鑑定】


 名前:なし Lv1

種族:スライム 種類:スライム

属性:水

HP 3/3

MP1/1

筋力D: 精神力:D 敏捷:D ストレス:1


 ――――――ッオーマイガッ!!


 やっぱりかっ!! ありえない!なんでだよ……俺の……丸っこくてぽよぽよの……。

 あなんグロいだと!! リアルすぎる……粘っこくて、ベタ~と地を這って、細長くて、牙をむき出した凶暴な顔つき。牙は無いけど!! 想像と全然違うし!! 聞いてないよ~~!!


 俺の楽しいもふもふ生活が……。


「いや~! 来ないで~!」


「お姉ちゃんに近づくなっ!!」


 はっ!黄色のもいる。


【鑑定】


 名前 なし Lv2

種族:スライム 種類:レモンスライム

属性:水

HP5/5

MP10/10

筋力:D 精神力:D 敏捷:D ストレス:1


 レモンスライムだと!! 何がレモンだよ。名前だけ洒落やがって!! 見た目と名前のギャップ!


 おっとちょっと興奮してしまいましたね。


「あの~すいませ~~ん。そこのおにいちゃん。変な踊りしてないで助けてもらってもいいですか?」


 少年は言った。


 ? 踊ってませんが? そんな風に見えたのかな?


「あっごめん……」


「「ビギャ~グギャ~」」


「はぁ? ビギャ~じゃね~し」


 固有スキル【言語理解】魔獣達の言語が理解出来き、会話も出来る

 スキル【言語理解】魔獣達の言語が理解出来き、会話も出来る


 えっ同じじゃん!! スキルの重複!! あっそうか、固有は何の装備かな? スキルはテイマーだからかな。

 まあいっか。別に有って困る訳じゃないし。

 それより、スライムもちゃんと意思あるんですね。知性も意思も何もないのが魔物で、ちゃんと知性も意思もあるのが魔獣だったよね、確か。


「あのマヌケな人間。さっきから何突っ立ってんだ?」

「怖くてビビってんじゃね? 早く喰っちまおうぜ」

「今日は餌が3匹もいやがる。小さいのが2匹。デカいのが1匹」

「オッオデ ハラヘッタ」


「小さい雌は俺様が頂く。お前はそこの雄。お前たちはあのデカいの」

「オッオデの分は?」

「……お前はなし。」


 何だですかあの会話。レモンスライムが指図してるし、なんか偉そう。


 …………はぁ。聞きたくない。スライムがあんな事言ってるなんて……。


 嫌だな、ぶっちゃけ近づきたくないんですよね。 スルーしたい。けど……あの子達を放って置くわけにはいかないし。


「おっあの人間近づいてきたぞ。自分から喰われにきたぞ。グワッハッハッ」


 スライムに近づき、姉弟の間に割って入り、一体のスライムをなぎ倒した。


「「……なんだこの人間!!」」


 うげっ!! 気持ち悪い。何この感触。ぶにゅってなったよ。ぶにゅって。ほんと最悪!!


 姉弟の傍まで来て、頭を撫でた。


「待たせてごめんね。何でこんな所に居るのかな?」


「きのこを採りに来たて、帰ろうと思ったら、スライムに囲まれちゃった」


 幼い少女が言った。


 確かにカゴいっぱいにきのこが入っていた。


 なんて可愛いんでしょう。天使だ。癒される~。


「おにいちゃんどうしたの? ニヤけてるよ?」


 はっ!! いけませんね、あまりの可愛いさに、ついついニヤけてしまいました。別にロリじゃないよ。ただあのスライムを見た後だから……


「さあもう大丈夫だからお帰り」


「おにいちゃんは?」


「 うん、ここのスライムを倒したらロール村ってとこに行こうかなと」


「ほんとに? 私たち、そこに住んでるの。絶対来てね。」


 もちろん行きますとも。


 姉弟は頭を下げ帰って行った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る