くまのブーさん
ぺんぎん K
第1話
100エーカーにも満たない、家の近所のゴミ捨て場にはくまのブーさんがいる
マンションの二階107号室が僕の部屋。どうやら最近、隣の108号室に住んでいたカップルが別れたらしい。
数日前のことだ。
「すいません、昨日うるさかったですよね。ご迷惑おかけしました。」
と108の女から謝られ、お詫びに某東京Dランドのお土産をいただいた。うるさかったというのは喧嘩のことだろう。日頃のセックスのほうではなく。
最後にこの女の喘ぎ声を聞いたのは、お土産をもらう一週間ほど前だった。旅行先のDランドで何があったかは知らないが、やかましいほどの痴話喧嘩なら他所でやってくれよ。と内心毒づいた。
もらったクッキーは食べなかった。
夜中に女の狂ったような悲鳴、どたどたした物音、バタン!
女が出て行ったあと、僕はなんだかうれしくなってこれまでの108号室の濡れ事、玄関先で見た彼女のナイトブラを想像しながら今月初めてオナニーした。
ブーさんとのファーストコンタクト。いつも通り大学へ行こうとマンションの階段を降りると、ごみ捨て場に何か捨ててあった。くまだ。くまのぬいぐるみだ。あの有名なやつだった。
某D社の黄色いくまが、ぼろぼろになって捨ててあった。昨日のお菓子のパッケージに描かれたキラキラしたエレクトリカル団体の一員とは思えないほどやつれていて、おしりから少し綿がはみ出ていた。
続く
くまのブーさん ぺんぎん K @kawarasoba
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