第4話 なぜ、昔は書けたのか
昔は執筆意欲に燃えていた。
頼まれもしないのに、1日2000文字程度の短編を4か月連続で書いていた時期もあった。
併せて長編も書いていた。
これは推敲を重ねるうちに飽きて、よく途中で終わった。
これは今もよくある。
当時は書くということ、読まれないということに一切の恐れを感じなかった。
寧ろ、読まれなくていいとさえ思っていた。
自分の物語の面白さは、自分だけが理解していればいい。
そう思っていた。
けれど、ネットが普及し小説サイトが増加した今、そうは思えなくなってしまった。
近しい境遇の書き手が評価され、注目浴びる。
自分との違いは何か、
どこが優れているのか。
考えるようになってしまった。
それに伴い、自分自身に対しても、その目線は入るようになった。
これは面白いのか、
どこが読者に刺さるのか。
考え込むようになり、それが怖くなってしまったのだ。
考えたところで、ポジティブなアイデアは浮かばない。
何も考えず、好きに書きていた時代の方が良かった。けど、戻れない。
あの世界は遠く昔。
どうすれば、この状況を打開できるのか。
他人の目ーー正しくはそれを気にする自分の目だが、それに暗闇を与えるにはどうすればいいのだろう?
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