❏ ダンジョンオルレアン
俺達は現在、ダンジョンの入口があるレンガ造りの広場に到着した。このダンジョンの名前はオルレアンと呼ばれており、およそ百階層まであると言われている。
俺が予想していた古代遺跡のような感じではなく、ダンジョンの入口は灰色の石レンガできれいに作られていて意外としっかりしている。
石で作られた壁の様な何もない所ににウィルアム団長が手を当てる。すると、手を当てた場所から壁全体に赤く輝く魔法陣が現れ、壁の真ん中に一直線の筋が入り自動ドアの様に左右に壁が動いてダンジョンへの道が開く。
「これからダンジョンに入ります。くれぐれも勝手な行動はしないように」
ウィルアム団長が念を押すと、ダンジョンに入っていく。俺達も続いて、修学旅行に来た学生みたいにキョロキョロしながら入っていった。
◇
ダンジョン内は薄暗いがある程度視認が可能な明るさに保たれてて、俺達はチームごとにゾロゾロときれいな石レンガ造りの通路を歩いていく。
しばらく何事もなく歩いていると、高さ十メートルはある開けた場所に出た。石レンガ造りの壁は所々ボコボコしているが割ときれいだ。
すると、俺達の目の前に黒い狼の魔物がどこからともなく現れる。
「では、訓練と同じように倒してください。まずは一斑から。他は下がっていてください。各班順番に回ってくるので準備しておいてください。あれはブラックウルフという最下位の魔物です。素早く、毒の牙を持っていますがたいして強くないですよ」
言われた通り、ブラックウルフが素早く一斑の勇者チームに群れで襲い掛かる。
ブラックウルフはブラックというだけあって黒い体毛で覆われていて頭に角が生えている。分かりやすく日本の動物で例えると、黒い犬に角が付いた感じでかわいらしくて倒しずらい見た目をしている。
目の前で松平達がブラックウルフと対峙する。が、かわいらしいのか松平達の手が一瞬滞る。しかし、ブラックウルフはそんなのお構いなしに噛みつこうと襲い掛かってくる。
そこでようやく気を取り戻したのか松平達は武器を振る。松平と長江が鋭い斬撃でブラックウルフを切り倒し、後衛組の瀬角や川内、真野の三人が魔法の詠唱を始める。
松平の使う白銀のロングソードは国宝アーティファクトで、別名は聖剣。勇者おなじみの武器だ。火・水・風・土の四属性に光属性の魔法が束ねて付与された剣で、いかなる敵も切り倒せるらしい。
魔剣使いの長江が使うロングソードも国宝のアーティファクトで、薄く赤みが帯びていている剣だ。付与されているのは火属性で、剣の中では五指には入る名剣だそうだ。
その他にも全員一人に一つは国宝級のアーティファクトが渡されている。伝説の盾やら杖など。
ちなみに俺のアーティファクトは紺色のマント。このマントの付与能力は生命力+150と防御力+150といった能力に自動再生という能力が付いたものだ。
自動再生はある程度の魔力を消費して、体力を自動的に回復するらしいが今は壊れているらしく、生命力+150と防御力+150しか付与されてない。そのため今はただのアーティファクト。
それでもステータス値が平均レベルぐらいだった俺が装備すると、松平達チート組と近いステータスになるので俺には嬉しいアイテム……と最初は思ったが勇者達は鎧を着たりして少々防御力が上がっていたりするし、俺よりレベルが遥かに高かったりするので結局は気休め程度なんだがな。
あと、もう一つはエレノアからもらったショートソード。アナテリアが作ったらしく国宝級とまではいかないが準国宝級だそうだ。
このショートソードは鋭い切れ味を持ち、一切刃こぼれしないという。おまけに中位レベルの結界ならいくらでも張れるそうだ。だが、その分一回誰かが触るとその人しか使えないという欠点を持つ。最初に触れた人以外が使うと全く切れない鈍器になるそうだ。
まあ、そんな感じでステータスも少々上昇した。
――――
ヒロキ・ミシマ
種族 人族 職業 加工師Lv.3
生命力 320+150/470
魔力 500/500
攻撃力 200
防御力 170+150
俊敏性 260
スキル
創作術Lv.5 創造術Lv.4 鑑定Lv.5 錬金術Lv.1 錬丹術Lv.1 調合Lv.3 加工Lv.3 合成Lv.3 作成Lv.2 圧縮硬化Lv.1 鍛治Lv.1
レアスキル
イメージクラフトLv.1【+制作補助】 アイテムボックス
装備付与能力
ステータス補正 中位結界
――――
◇
特に問題なく交代で戦闘し、順調に下の階層に降りていった。現在、二十九階層で次の階層がボス部屋だそうだ。
今までの最高到達点は四十五階層らしく、それは初代勇者達がなした偉業であり今では二十五階層まで行けたら大ベテランだそうだ。俺達は戦闘経験が少ないが、チート集団と騎士団がいたのであっさりと二十五階層を通過した。
「次はボス部屋です。ここのボスを倒したら、今日の訓練は終了です。気を引き締めてください」
松平が石の扉に手を当てると独りでに開く。俺達は次々とボス部屋の広間に入っていく。
俺達が全員入ると、大理石の床から赤黒い不気味な魔法陣が現れ身長十メートル以上はある固そうな鱗をまとった巨大な魔物が目を赤く光らせ現れる。鋭い牙と爪を持った巨大な魔物は大きな足音を響かせながら近づいてくる。
「ギィヤァァァァァァァッッ!!」
凄まじい咆哮が広間いっぱいに響き渡り、巨大な魔物が腕を振り上げる。鋭い爪の延長線上に風の魔法の爪が発生し、猛スピードで飛んでくる。俺達は恐怖といきなりのことで対応できずに呆然と立ち尽くす。
「武技『旋回』っっ!!」
突然、目の前にウィルアム団長が現れ騎士剣を円を描くように振る。ガギッと鈍い音が聞こえ、目を開いた時には騎士剣が木っ端みじんに砕けていて吹き飛んでいた。
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