第137話 夏祭り編 迷子2



「これは…、どこで…?」



わたしの…


えっと…


友達がね?


わたしにくれたのだけど…



「…はい」



よくよく聞いてみると、


その方のものを勝手に持ってきてしまったみたいで…



「…なるほど」



…あっ


もちろんその子は叱りましたっ


"こらっ、だめでしょっ!"と、


きつーく言いましたっ



「…ふふ、そうですか(…怒り顔もかわいい)」



その方は女性らしいのだけど…


これだけの人でしょ?


1人で探すのは大変で…



「たしかに」



ごめんなさいね


あなたの探し人が見つかるまでで良いから…


あらためてお願いしてもよろしいかしら?



「もちろんですっ。…ふふ、もしかしたら探し人が同時に見つかるかもしれないですよ?」



え?



「あたしの彼女も同じお面をしてたんですよ。偶然ってあるんですね」



あらっ!


これはその方のもの?



「あー、いやいや…。まだ確証は無いですけどね…。出会ったときに聞いてみないと」



あらあら


これは幸運っ




手を…握らせてくれるかしら?



「え? …はい」



ギュッ







…ふふっ



「あの…?(冷たく綺麗な手…)」



この方で間違いないわ…



あなた…



ふふっ



彼女のこと、


とーっても大好きなのねー



「えっ?」



今が不安で不安で仕方ないって…


"大丈夫かなぁ…"


"早くみつけなきゃっ"って、


本気で思ってる



「いやっ、どっちかっていうと今頃アイツが…」



…ふふっ


…うそ



「…はい、…そうですね」



その子のための嘘は…


つくのが辛くなるくらい、


とーっても大切な人


…ね?



「…」



…じゃあ


このお面はあたなにお任せしちゃおうかな


その大切な方のものですもの


…わたしの出番はおしまい



「え…、いや、さすがにそれは…。間違ってるかもしれないし…」



ふふっ


…大丈夫


お姉さんを信じてっ



「信じ…」



んーっ


久しぶりにたくさんおしゃべりしちゃったーっ



本当に楽しかった…



またね…



「え、ちょっと待っ…」




"あ゛ーーーーーっ!!"




ビクッ




「うっさ! …って!」

「どこ行ってたのよ!! も~~っ!!」



えー…



「それはこっちのセリフだっつーのっ」

「…あれっ? それっ! お面っ!」



えっ



「…アンタのなの?」

「そうっ!! 聞いて聞いてっ!! それねっ!!」



キーン…



「うっさ…」

「猫ちゃんと一緒に撮ろうと横に置いたら持ってかれちゃったの! すごくないっ!」





「取られた? …猫に?」

「そうっ!! マジであせってさ~っ、追いかけたんだけど速くてっ…。そしたらあんたもいなくなるしぃ…」



えっ?



クルッ



「…あ、あのっ、お姉さんっ。…あれ?」

「いやぁ、良かった~っ。探し物が同時に見つかるっていう奇跡、ホントにあるんだね~」



キョロキョロ…



「うそ…、いない…」

「…どしたの?」



わたわた



「ここにめっちゃ美人のお姉さんいたよねっ?」

「…えっ、………、浮気してたの?」



はぁっ!?



「違うわっ! アンタに似た感じの綺麗なっ!」

「いなかったけど…、誰?」





「………」

「…誰なのよ、…幽霊?」



ヒィィッ



「やめてっ!」

「美人なんでしょ?」







「たしかに、そう思えば怖くない…、いや…、う゛ーーん…」

「なにがあったのよ…」

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