第77話 月

ガラガラ



そよそよ…



「んー…、涼しい…」





…おー



「ねぇっ、こっち来てよっ。ベランダっ」


「…なぁに~?」



ガラガラ



「早く早く」

「どしたの~」



キラキラ



「ほら、満月っ」

「お~…、眩しっ。それだけ…?」



ニヤニヤ



「うん、それだけ」

「も~…、子供かよ~…」



ふふっ



「きれいだね…」

「あらっ、ありがと~」



えー…



「アンタに言ったんじゃないし…」

「あらあら、ホントかしら? ホントに下心は無いのかしら~? フフッ」



はぁ…



「月はきれいな心で見るものだよ…」

「まっ、人を不純みたいに言うなんてっ。あなた失礼ですわよ?」



うん



「あってるじゃん」

「ちがいますぅ~、超純粋ですぅ~」



ほー?



「じゃあ、やっぱり今日は1人でお風呂入るわー」

「え゛~っ、きのう一緒に入るって決めたじゃ~んっ!」



ガラガラ



「月でも見て心を洗ってなさい。…じゃ、行ってきまーす」

「や~っ!!」

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