願い郵便局員の何かとちんちくりん
小峯さん
第1話 人に落ちた日
「これだから人は嫌いなんだ」
「まぁそういうなって。」
私はいつもどうり、人の願いを読んでいる。ここは、人の願いが届く郵便局。
そう、私はその郵便局員だ。そして私は入社当時から、ますます人が嫌いになった。なぜかって?人の願いは汚いものだらけだからだよ。
「ほら見ろ。お金持ちになりたい、モテたい、こんな願いばかりだぞ。嫌いにもなるだろう?」
私は隣のやつに言った。本来願いとは、最低限努力したものが持つべき物なのだ。それをこいつら人は、当たり前のように願ってくる。なにもしていないのに。許しがたいことだ。しかし、私は願い郵便郵便局員。この薄汚れた物を読むしかないのだ。それが仕事だ。
「俺は嫌いじゃないけどなぁ~」
隣のやつは言った。こいつはなにもわかってない。そう思って私は願いを読み始めた。人は欲深だ。善良な行動にも裏がある。常にメリットを求める。そうできているのだ。時が過ぎて、昼休みが来た。
「いつになったら人は絶滅するんだ?」
私は隣のやつに聞いた。
「さぁな。そんなことよりこれ見ろよ」
隣のやつは私の質問を受け流し、話し出した。
「この時期になると、チョコレートがほしいってやつが増えるんだよなぁ。不思議だよな。食べたいなら自分で買えばいいものを。人の考えは興味深いねぇ。」
「はっ。」
私は鼻で笑った。
「自ら施しを懇願するとは。欲深でとても人間らしいな。」
私はいつもの口調で、そんな嫌みをいってやった。
「またそんなことをいって。君は人を邪険にしすぎだよ。」
そんなことはない。正当な評価である。しかし、これ以上の論争は無駄だと判断し、食事をかたずけ、さっさと自分の席についた。あえてなにも言わないのは、私たちのいつもの流れである。今日の仕事は終わった。
「お疲れ様です」
そういって私は帰宅した。
新しい今日が来た。今日もまたあれを読むと思うと憂鬱になる。しかし、そう思っていたのもつかの間。上司に呼び止められた。なんだろう。
「今日君が呼ばれたのは君の態度について話があるからだ。君は人をものすごく邪険にしているようだね。人の願いを読む者としてそれはふさわしくない。私はそう思うのだがどうだい?」
私はなにも言えなかった。確かに納得できる言葉だったからだ。
「そこで君に新しい仕事だ。いや、研修というべきかな?」
「研修」
私は、仕事はできる。そんな私が研修だと?どう言うことだ?そんなことを考えていると上司は口を開いた。
「君は仕事はできる。だが、認識に難がある。だから日とと一緒に生活してもらう。それが君の受ける研修だ。」
行きなり何をいっているんだこの人は?私は頭が真っ白になった。が、数秒たって私は冷静さを取り戻した。
「何を迷っている?あ、期間は一生だ。」
一生。確かに短くはある。いや、それでも。いや、私は我慢のできる者だ。
「わかりました。」
私はこれを承諾した。そうすると、次の瞬間目の前が真っ暗になった。そして明かりが見えたと思ったら鳴き声が聞こえた。うるさいな。というか、ここどこだ?次の瞬間私は悟った。
「元気な男の子ですよ」
そう、人と生活する。そのために私は人になったのだ。
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