しょうもない日

蒼知

第1話 起床

動物は寝る。神経系を休めて回復するために寝る。

特に我々人間は、夜に寝る。

なかでもボク、吉田裕次郎は夜22:00に寝る。

朝は7:00に起きる。

起きたら顔を洗って、歯を磨く。

そして、朝食に目玉焼きをつくって食べる。

目玉焼きをご馳走になったら、身支度を整えて家を出る。

これが、”いつもの”ボク、吉田のルーチンワークである。


ところが、今日は8:00に起きた。

1時間も刻がずれてしまった。

いつもならとっくに研究室に出て、学生室でコーヒーを飲んでいる頃だった。

コーヒーを飲みながら、今日のニュースに新しい論文、メールのチェックをするのが”いつもの”ボクの習慣だ。


枕もとの時計を見て唖然とした。

見間違ったかと、眼鏡をかけてもう一度時計を見てやった。

たしかに、八時ちょうど。いや、一度目を離したすきに08:01になった。


朝の一時間は大きい。

陽の明るさが全く違うし、気温も違う。

特にこの初夏にもなってくると、暑苦しく目覚めるには不快なほどだ。


布団にはそれ以上入ってはいられなかった。

だからと言って、ベットから起き上がる気になれなかった。


昨夜は、研究室の飲み会だった。

ものすごく荒れた。男の先輩は急に上裸になるし、女の同期は最近実験が上手くいかないだとかで急に泣きだした。酒を飲むと人は唐突に感情が変化するようになる。

ボクもそんなにたくさん飲んだつもりはなかったけれど、帰ってからひとりで吐いた。

無事、ベットに横たわったのは”いつもの”22:00を2時間ほど過ぎていたと思う。


昨日の疲れもとれていない。

だるい体を起き上がらせる気力がわかず。

ボクは、スマホを片手に横たわっていた。




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