第11話
入れ替わり立ち代わり
席はどんどん変わって
最初は近くにいた
友香さんも佐藤さんも
今は2人とも隣のテーブル。
「で。佐藤さんのとこはどーなんです?
子ども作らないのー?」
「いや。うちは別にそんな感じではないから」
「えー。子ども嫌いなんですかー?」
「そーいうわけでもないけど。」
「ごめん。ちょっとトイレ」
あー。佐藤さん逃げたー。
席を立つ佐藤さんに
周りはちゃちゃをいれる。
でもわたしにだけ見えた表情は
無だった。
わたしはそのとき
踏み込めない彼の世界を知った。
わたしにはまだ
彼を知る権利はない。
覚悟もないのだから。
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