第9話 やけど顔の少女
ゴロゴロ…ピカピカッ!ドドーン!
突然、空が裂けるかと思う程の音を立てて雷が鳴り響き、ザーッと大雨が降って来た。
アタシは
「神さまが怒ってる?」
「違うの、これは自然現象なのよ」
雷の発生する原理を説明したんだけどメアリーにとってはチンプンカンプンだったみたい
「あの、聖獣様はお一人で旅をされているのですか?もしよかったら私もお供に連れて行って下さいませんか?」
「えっ!何でよ??」
「実は私、家がなくて納屋で寝泊まりしていまして
その…何処か住み込みで働かせてもらえる所を探したいのですが」
うーんまぁ……考える余地はあるわね〜 そりゃ彼女は勇者の称号は持っているし何よりこの世界の事を少しでも知っている人が一緒にいると今後は色々と助かるだろうしね。
あと………さっきの勇者達から色々と聞いたんだけどまずこの異世界には、人間に近い知性を持った異種族が多数存在するらしい。そして、魔物と呼ばれる、人に害をなすものも存在しているって……知ってるわよだってアタシこそがまさにそうじゃないのよ!
次に今アタシ達がいる場所なんだけどシルヴェニア王国って国の領域内でここから30キロ程南西にロッペンハイマーという町があるそう。
この国で王都の次に人口の多い町でこの辺りの領主様もそこに住んでいるらしい。しかも貴族にしては珍しくとても市民から尊敬されている人格者なのだとか爵位は男爵で名前はノイエ・フォン・ヴァイツゼッカーだって
あと、意外だったのが人々のスキル保持数が少ないこと。ほとんどの人が持っていないかもしくは自分の作業用スキルだとか
そしてファンタジーの定番である魔法なんだけど
コレも残念ながらみんながドンパチ魔法が使えるわけでも無いらしく魔法使いの数も少ない、使えてもせいぜい生活魔法といった所だそうだ。
メアリーに案内されて彼女が住む村に行く事になった。彼女は孤児らしく村長の家にある納屋で寝泊りしながら掃除女中として仕方なしに雇われているそうよ。それにしても納屋って何よ、 彼女の事を馬か豚だとでも思っているのかしら?
まあ、彼女の着ている粗末なボロ布服を見ればここでどういう扱いをされているのか何となくわかる。それに臭いも……酷いわね特に髪の毛……
彼女の髪は手入れどころかお風呂に入ってないんでバサバサでかなり傷んでるんだろうね。顔も体もよく見るとあちこちに痕跡が目につくし何より火傷の跡が特にひどいわ
あと彼女、少し知識的な事を聞くと途端に答えられないのよね。
元の世界ならこのくらいの年代の子は学校で勉強しているのでそこそこの知識はあるハズだけどこの子は………きっと
「ねぇメアリーちゃん、あなた昼間はちゃんと学校へ行ってるのかな?
アナタくらいの歳の子は将来の事を考えるとやっぱり学校へ行ってたくさんお友達を作ったり勉強した方がいいと思うわ」
「メアリーで構いませんよ
学校へ通えるのは町に住む貴族様や領主様の子供だけなんですよ。私、昼間はいつも動けなくなった老人の世話をしたり、村のゴミを集めて捨てたり、糞尿を集めて捨てる仕事をしたり、一生懸命やってるんですが……」
「老人の介護にゴミ処理にトイレ掃除!!偉いじゃない?アナタそれは大切な仕事よ。誰にでも出来る事じゃないわよ。胸を張りなさい!」
「といれ…とは何でしょうか?
すいません私にはよく分からないです。」
彼女の両親は2年前、家が火事に遭い火傷が原因で病死しており、そして彼女も顔に酷い火傷を負いそれが村全体での迫害に拍車をかける事となったそうよ。全くひどい連中ね! 親がいない事をいいことにこんな小さな子供にそんな仕事をさせて……
両親がもし生きていたならこんな目には合っていないはず…
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